目次
恵洪の文字禅について――その理論と実践および後世への影響―― ………………………… 周裕 鍇
(浅見洋二 訳)
寒山拾得の受容とその変遷
――五山禅僧の詩歌・絵画に見られる寒拾の形象と宋元禅文学の関係 ………………… 査 屏 球
(谷口高志 訳)
『中興禅林風月集』続考 …………………………………………………………………………… 朱 剛
(甲斐雄一 訳)
日本入宋僧南浦紹明および宋僧の詩集『一帆風』について …………………………………… 陳 捷
禅僧による禁中漢籍講義――近世初頭『東坡詩』の例―― …………………………………… 堀川貴司
和刻『唐詩選』出版の盛況 ………………………………………………………………………… 大庭卓也
「漢文学史」における一七六四年 ………………………………………………………………… 張伯偉
(内山精也 訳)
十八世紀東アジアを行き交う詩と絵画 …………………………………………………………… 高橋博巳
『漢学紀源』と五山儒学史について ……………………………………………………………… 東 英寿
森槐南と呉汝綸――一九〇〇年前後の日中漢詩唱和―― ……………………………………… 合山林太郎
あとがき ………………………………………………………………………………… 堀川貴司・浅見洋二
執筆者紹介・英文目次
内容説明
【編者のことば】
「蒼海」、日本では黄海・東シナ海・日本海などと呼ばれる海が、中国大陸・朝鮮半島・日本列島など東 アジアの諸地域を結びつけている。この海域を経由して、古来さまざまな人やモノが行き交った。そのうち 本書が焦点を当てるのは、漢字で書き記された詩や文章などの文学作品である。
本書は、寧波プロジェクト詩文受容班「五山文学における宋代詩文の受容と展開」による研究成果に基づく。同研究は、鎌倉時代末期より室町時代に至る五山禅林の漢文学において、中国宋代の詩文がどのように受容されていったか、中国文学と日本文学双方の視点から研究することを目的として行われた。本書では対象を更に拡大して近世・近代にまで範囲を広げ、また日本から他地域へと発信された詩文も対象とし、いわゆる漢字文化圏における文学交流を多角的に探ろうと試みる。