目次
第一部 貿易・軍事と物の移動
日宋貿易と「トウボウ」をめぐる覚書 ………………………………………………山内晋次
寧波・博多交流の物証としての寧波系瓦の化学分析 ……………………………小畑弘己
元朝の日本遠征艦隊と旧南宋水軍 ………………………………………………中島楽章
十~十六世紀の東アジアにおける扇の流通と伝播 ………………………………呂 晶淼
室町時代の博多商人宗金と京都・漢陽・北京 ……………………………………佐伯弘次
第二部 外交秩序と文化交流
入明記からみた東アジアの海域交流 ………………………………………………伊藤幸司
《中華幻想》補説――拙著のための弁明と研究動向の整理若干―― ……………橋本 雄
『外夷朝貢考』からみた明代中期の国際システム …………………………………岡本弘道
日明・日朝間における粛拝儀礼について ……………………………………………米谷 均
第三部 史料研究
博多承天寺入寺疏 …………………………………………………………………西尾賢隆
妙智院所蔵『初渡集』巻中・解題 ……………………………………………………須田牧子
妙智院所蔵『初渡集』巻中・翻刻 ………… 伊藤幸司・岡本弘道・須田牧子・中島楽章・西尾賢隆・橋本 雄・山崎 岳・米谷 均
あとがき 伊藤幸司
執筆者紹介・英文目次
内容説明
【編者のことば】
十世紀から十六世紀にいたるまで、東シナ海を横断して寧波と博多を結ぶ航路が、日中海域交流のメイン・ルートであった。この寧波―博多航路は、東アジア海域における基幹ルートであるとともに、ユーラシアの東西をむすぶ長距離交易ルートの東端に位置し、周辺海域の交易圏ともリンクしていた。
この寧波―博多航路によって、海商や外交使節が往来し、禅僧たちが渡航して文化交流や情報伝達を担った。また中国の銅銭・陶磁器・絹、日本の金銀や硫黄が運ばれ、東南アジアや朝鮮の物産も転送された。本書では、こうして東シナ海を渡った人・物・文化の移動に着目して、東アジア海域交流の諸局面を描きだしてみたい。第一部では宋元・明代の海上貿易や具体的なモノの移動の実態を検討し、第二部では明代中心に、外交秩序や文化交流の諸相を論じることにしたい。