内容説明
【編者のことば】
従来、「外交」と言えば、国家と国家との関係交渉を指すものとして捉えられていた。しかし、前近代社会においては国家対個人の関係や国家と関わりのない個人対個人の関係も重要な「外交」の課題となりうる。そして「外交史料」も同様な問題をはらんでいる。すなわち、国際関係を処理する段階は、皇帝対国王といった君主間の国書のやりとりに加えて、中央政府対中央政府、地方政府対地方政府といった様々な段階があり、「箚子」や「牒」などの書式による文書が数多く用いられている。これらに加えて、商人、僧侶、留学生なども末端の外交を担ったと考えられ、日記、旅行記など多様な「外交史料」が存在する。
本書は、以上のような広義の「外交」、「外交史料」の解明を共通の課題として十~十四世紀の東アジア世界における国際関係のあり方の解明を試みたものである。