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平安時代の佛書に基づく漢文訓讀史の研究 第六冊

傳承と傳播

平安時代の佛書に基づく漢文訓讀史の研究

◎日本の訓點の起源、平安初期・中期・後期の訓讀語體系を明らかにし、その変遷の原理に及ぶ大著なる

著者 小林 芳規
ジャンル 国語学(言語学)
国語学(言語学) > 総記・論集
出版年月日 2016/01/26
ISBN 9784762935961
判型・ページ数 A5・888ページ
定価 26,400円(本体24,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

【主要目次】
第一篇 訓讀法の傳承
第一章 院政期の訓讀法の性格
  第一節 はじめに
第二節 平安後期の點本に對して院政期に追記加點した資料の訓讀法
  第三節 院政期における祖點者の訓讀法とその繼承-實範の場合―
      〔實範の自筆加點本の訓讀法・實範の訓讀法の性格・實範の訓讀法の繼承〕
 第二章 宗派別訓讀比較法
  第一節 緖  説                 第二節 宗派別訓讀比較法の諸資料
 第三章 不空羂索神呪心經の訓讀法
  第一節 不空羂索神呪心經の平安時代加點の諸本   第二節 不空羂索神呪心經の序文の訓讀法の比較
第三節 不空羂索神呪心經の本文の訓讀法の比較
〔南都法相宗系の訓讀法・眞言宗小野流の訓讀法・天台宗比叡山系の訓讀法〕
第四節 東寺觀智院金剛藏本における長保頃點と永長點との比較
第五節 眞言宗小野流における南都法相宗の訓讀法の影響
 第四章 蘇磨呼童子請問經の訓讀法
  第一節 蘇磨呼童子請問經の平安時代の諸點本    第二節 石山内供淳祐の流の訓讀法の傳承
  第三節 眞言宗小野流の訓讀法
    〔眞言宗小野流の四點本が同じ訓讀法・眞言宗小野流の四點本のうち、一點本が異なる訓讀法の
    もの・眞言宗小野流の四點本のうち、二點本が同じ訓讀法で、他の二點本とは異なるもの・眞言宗.小野流の四點本のそれぞれの訓讀法が異なるもの〕
  第四節 眞言宗仁和寺系の訓讀法
  第五節 天台宗比叡山の仁都波迦點所用點本の訓讀法
      〔仁都波迦點所用二點本の訓讀法の異同・眞言宗小野流の訓讀法との關聯〕
  第六節 天台宗比叡山の天尓波留點別流所用點本の訓讀法
  第七節 西墓點所用點本の訓讀法
      〔温泉房本の訓讀法・高野山月上院主玄證加筆の墨假名の訓讀法〕
第八節 天台宗の本文とその訓讀法
 第五章 聖閻曼德迦威怒王立成大神驗念誦法の訓讀法
  第一節 聖閻曼德迦威怒王立成大神驗念誦法の傳來と諸本  第二節 本文の異同と諸本の系統
  第三節 石山寺藏平安中期末長保頃點の訓讀法
      〔石山寺藏長保頃點の訓讀法・連詞「況」の訓法から觀た諸本の類別と長保頃點の位置付け〕
  第四節 聖閻曼德迦威怒王立成大神驗念誦法の訓讀法による系統別の分類
      〔眞言宗仁和寺の系統・眞言宗仁和寺系統の訓讀法と天台宗の訓讀法の異同・天台宗における三
井寺(寺門派)と比叡山延暦寺(山門派)との異同・天台宗寺門派の訓讀法・天台宗比叡山系の訓
讀法・眞言宗中川成身院の訓讀法・眞言宗小野流の訓讀法〕
  第五節 聖閻曼德迦威怒王立成大神驗念誦法の訓讀法の系統
      〔系統別の整理・系統別の訓讀法・系統別の訓讀法の性格〕
 第六章 金剛頂瑜伽護摩儀軌の訓讀法
  第一節 金剛頂瑜伽護摩儀軌の傳來と諸本
  第二節 眞言宗仁和寺系の訓讀法
      〔平安中期末の訓讀法・寬助と寬意の訓讀法・淨光房頼尊の訓讀法・仁和寺系の殘る二本の訓讀法〕
  第三節 眞言宗小野流勸修寺系の訓讀法
      〔勸修寺の訓讀法の系統・建久四年書寫本を通して見た寬信の訓讀法〕
  第四節 天台宗三井寺の訓讀法           第五節 天台宗比叡山關係の訓讀法
  第六節 金剛頂瑜伽護摩儀軌の訓讀法の系統
      〔系統別の整理・系統別の訓讀法・系統別の訓讀法の性格〕
 第七章 金剛藥叉念誦儀軌の訓讀法
  第一節 金剛藥叉念誦儀軌の傳來と諸本       第二節 本文の異同と諸本の系統
  第三節 石山寺藏平安中期末書寫本の訓讀法の性格
  第四節 天台宗三井寺系の訓讀法
      〔天台宗三井寺系の資料とその訓讀法・永久二年書寫加點本の異訓について〕
  第五節 眞言宗小野流の訓讀法           第六節 眞言宗仁和寺僧の係る小野流の訓讀法
  第七節 眞言宗仁和寺の訓讀法           第八節 眞言宗中川成身院(實範)の訓讀法
  第九節 全卷移點未了未調査資料
      〔西南院藏保安二年俊慶書寫傳受本・西南院藏保延元年書寫本・持明院藏元永二年盛俊奉受本・
      靑蓮院吉水藏永保元年書寫本〕
  第十節 金剛藥叉念誦儀軌の訓讀法の系統
      〔系統別の整理・系統別の訓讀法〕
 第八章 虚空藏求聞持法の訓讀法
  第一節 虚空藏求聞持法の傳來と諸本
  第二節 虚空藏求聞持法の訓讀法の系統
      〔眞言宗仁和寺の系統・眞言宗小野流―高野山明算の流―・天台宗三井寺系・眞言宗高野山玄證〕
  第三節 求聞持法における各宗派の訓讀法の差異   第四節 求聞持法の平安後期以降の訓讀法の性格
  第五節 求聞持法の平安中期の訓讀法
 第九章 訓讀法の傳承の諸系統とその性格
  第一節 はじめに
  第二節 經論類二種
      〔不空羂索神呪心經の訓讀法の系統・蘇磨呼童子請問經の訓讀法の系統・經論類二種の訓讀法の
比較〕
  第三節 儀軌類四種
      〔聖閻曼德迦威怒王立成大神驗念誦法の本文と訓讀法の系統・金剛頂瑜伽護摩儀軌の訓讀法の系
      統・金剛藥叉念誦儀軌の本文と訓讀法の系統・虚空藏求聞持法の訓讀法の系統・儀軌類四種の訓
讀法の比較〕
  第四節 經論類二種と儀軌類四種との訓讀法の比較  第五節 訓讀史から觀た經論類二種と儀軌類四種
第二篇 訓讀語の傳播
 緖  説
第一章 假名書法華經に現れた訓讀語
 第一節 はじめに                 
 第二節 自立詞〔願望を表す動詞「願」「唯」・動詞の使役態・動詞の受動態・補助動詞・接尾詞「等」〕
 第三節 附属詞〔添詞・介詞・連詞・語気詞〕
  第四節 副用詞〔陳述副詞〕
  第五節 讀添語              第六節 訓讀法の變遷から見た妙一記念館本假名書法華經
 第二章 假名書文獻に現れた訓讀語
  第一節 山田孝雄博士の指摘
  第二節 平安鎌倉時代の假名書文獻に現れた訓讀語
      〔願望を表す動詞「願」「唯願」の訓讀によって生じた「ねがはくは」「ただしねがはくは」・動
詞の使役態「令」の訓讀によって生じた「~をして~しむ」・動詞の受動態「爲~所」の訓讀によ
って生じた「のために~る・らる」・接尾詞「等」の訓讀によって生じた副助詞「ら」・後置添詞
「者」(人を表す用法)の訓讀によって生じた「もの」・前置添詞「所」の訓讀によって生じた「と
ころ」「しょ(所)~」・介詞「於」の訓讀によって生じた「おいて」「おきて」・竝列の連詞「及」
の訓讀によって生じた接續詞「および」・竝列の連詞「幷」の訓讀によって生じた「ならびに」・
竝列の連詞「乃至」の訓讀によって生じた「ないし」・選擇の連詞「若」の訓讀によって生じた「も
しは」・添加の連詞「況」の訓讀によって生じた「いはむや」・語氣詞「耳」「而已」の訓讀によっ
て生じた「らくのみ」「まくのみ」・陳述副詞「當」の再讀表現によって生じた「まさに~べし」・
陳述副詞「將」の再讀表現によって生じた「まさに~むとす」・陳述副詞「須」の再讀表現によっ
て生じた「すべからく~べし」・陳述副詞「宜」の再讀表現によって生じた「よろしく~べし」・
陳述副詞「豈」の訓讀によって生じた「あに~むや」・「未」の再讀表現によって生じた「いまだ~
ず」・副用詞の漢字を「動詞連用形+て」と訓讀することによって生じた副詞・副用詞の漢字を「動
詞連用形+に」と訓讀することによって生じた副詞(「ならびに」は既掲)・連詞「則」・副詞「則」
「卽」の訓讀によって生じた接續詞「すなはち」・可能動詞「得」が「こと」を受ける訓法によっ
て生じた「こと得」「ことを得」〕
  第三節 假名書文獻に現れた訓讀語の性格

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内容説明

本册は、第一篇訓讀法の傳承(「傳承篇」)と、第二篇訓讀語の傳播(「傳播篇」)とから成る。

「傳承篇」は、第三册『平安初期の漢文訓讀語體系』、第四册『平安中期の漢文訓讀語體系』、第五册『平安後期の漢文訓讀語體系』の時期別記述を承けて、院政期を主とする訓讀語の實態を見ようとするものであるが、基本的にはこの期は訓讀の固定が一般化し、宗派・流派別に傳承される傾向が顯著であるので、見方を變えて、訓讀法の傳承という視點から說いたものである。

「傳播篇」は、これに對して、訓點資料に基づいて觀察された諸訓讀語が、訓點資料を離れて、平假名文や片假名交り文等の假名書文獻における日本語文章表現の中で如何に用いられたか、日本語の文章表現に如何に影響したかを、いわば訓讀語の傳播という視點から、平安時代と鎌倉時代の資料を對????として說いたものである。([前言]より)

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