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平安時代の佛書に基づく漢文訓讀史の研究 Ⅴ

平安時代の佛書に基づく漢文訓讀史の研究

◎日本の訓點の起源、平安初期・中期・後期の訓讀語體系を明らかにし、その変遷の原理に及ぶ大著なる

著者 小林 芳規
ジャンル 国語学(言語学)
国語学(言語学) > 総記・論集
出版年月日 2013/10/31
ISBN 9784762935954
判型・ページ数 A5・1220ページ
定価 33,000円(本体30,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

第一章 總 説

第二章 平安後期十一世紀における妙法蓮華經の訓讀法

第一節 平安後期十一世紀における妙法蓮華經の諸點本とその訓讀法の異同

第二節 妙法蓮華經卷第一による三本の訓讀法の比較

第三節 妙法蓮華經卷第五による三本の訓讀法の比較

第四節 妙法蓮華經卷第一・巻第五以外の巻による補足

第五節 南都法相宗における平安後期の妙法蓮華經の訓讀法の推移

第六節 平安初期の妙法蓮華經の訓讀法との相違―訓讀語變遷の反映―

第三章 祖點の成立とその過程

第一節 はじめに     

第二節 祖點者としての慶祚         第三節 慶祚の訓讀法の性格

第四節 天台宗三井寺における慶祚以前の訓讀法と慶祚の訓讀法との關係

第四章 祖點の繼承――天台宗三井寺における慶祚の祖點の繼承――

第一節 金剛頂蓮華部心念誦儀軌古點の繼承  第二節 慶祚の本奥書を持つ訓點本の訓讀法

第三節 慶祚の流の訓讀法          第四節 平安後期の金剛頂蓮華部心念誦儀軌の訓讀法

第五節 平安後期の西墓點資料の訓讀法 

平安新興佛教と南都古宗の訓讀

第五章 平安後期初頭における平安新興宗派の訓讀法と南都古宗の訓讀法

第一節 はじめに

第二節 眞言宗仁和寺の訓讀法――金剛頂一切如來眞實攝大乘現證大教王經寛弘五年點――

第三節 南都古宗の訓讀法――法華義疏長保四年點――

第四節 法華義疏長保四年點の訓讀法と高山寺藏金剛頂大教王經寛弘五年點の訓讀法との比較

平安後期における各宗派の訓讀――南都古宗――

 第六章 南都の訓讀法

  第一節 はじめに               第二節 成唯識論寬仁四年點の訓讀法

  第三節 知恩院藏地藏十輪經卷第十康平三年點の訓讀法

  第四節 西大寺藏不空羂索神呪心經寛徳二年點の訓讀法

  第五節 興福寺僧加點の平安後期點本(摘記資料)の訓讀法

  第六節 興福寺藏本大慈恩寺三藏法師傳卷第一平安後期點の訓讀法

  第七節 素姓未詳の南都資料の訓讀法      第八節 南都で讀んだ天台宗比叡山僧の訓讀法

  第九節 南都の古寺に遺存する天台宗比叡山關係古點本の訓讀法

  第十節 眞興の流の訓讀法

  第十一節 平安後期における南都の訓讀法の性格

 平安後期における各宗派の訓讀――平安新興佛教(一)――

 第七章 天台宗比叡山の訓讀法

  第一節 はじめに               

  第二節 聖無動尊大威怒王念誦儀軌の天台宗比叡山の訓讀法

  第三節 皇慶の流の訓讀法           第四節 最明寺本往生要集の訓讀法

  第五節 成唯識論の天台宗比叡山の訓讀法

 平安後期における各宗派の訓讀――平安新興佛教(二)――

 第八章 眞言宗小野流の訓讀法 

  第一節 はじめに               第二節 寂圓の弟子の訓讀法

  第三節 醍醐寺座主勝覺の弟子の訓讀法     第四節 醍醐寺關係僧の訓讀法

  第五節 血脈未詳の平安後期點本の訓讀法    第六節 中院僧正點加點資料

  第七節 頼照に傳わった大日經疏の訓讀法

  平安後期における各宗派の訓讀――平安新興佛教(三)――

 第九章 眞言宗仁和寺の訓讀法

  第一節 寬朝の訓讀とその流          第二節 性信の付法の訓讀

  第三節 高山寺傳存の仁和寺圓樂寺本について  第四節 淨光房點加點資料の訓讀法

  第五節 禪林寺點加點資料の訓讀法

 第十章 同一經卷に異種のヲコト點法が加點された資料における訓讀法の異同

  第一節 はじめに

  第二節 金剛頂大教王經卷第三(東京大學教養學部藏)における西墓點と喜多院點

  第三節 一字頂輪王經卷第一(宮内廳書陵部藏)における仁都波迦點と寶幢院點

  第四節 大毗盧遮那成佛經(西大寺藏)における仁都波迦點と喜多院點

  第五節 仁和寺における西墓點と圓堂點     第六節 異種のヲコト點法と訓讀法との關係

 第十一章 平安後期の訓讀法の性格

  第一節 平安後期の訓讀法が、平安初期・平安中期を經て變遷して成ったものであること

  第二節 平安後期に祖點が成立する過程と、それが繼承されて行く實態

  第三節 平安後期における宗派間の訓讀法の差異

  第四節 平安後期百年間における訓讀法の變改と異宗派間の影響

  第五節 天台宗・眞言宗の經疏の中には平安初期の古訓法が部分的に傳承されたものがあること

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内容説明

平安時代後期は漢文訓読史上、新しい変化が生じた重要な時期である。第五冊「後期訓讀語體系」では、 漢文訓読語の変遷という視点から平安後期の南都古宗と平安新興の天台宗、真言宗における経類と儀 軌類を含め当代の訓読語法の実態を解明する。

平安時代の奥書を年代順に眺めると天台宗や真言宗の平安新興仏教において、同一の訓点本の奥書 に二種以上の異なる訓読文が併存したことを示す用語が見られる。その最も早いものは天台宗三井寺の文慶による金剛頂蓮華部心念誦儀軌である。文慶は、この同じ聖教に時を隔て二種の訓読法の異なりを朱書と墨書とで区別して書き入れ、その事を奥書の識語に記している。これら異なる訓読文が訓読法を編み出した学僧から弟子に伝承された結果、天台宗三井寺だけでなく、天台宗延暦寺、真言宗小野流や廣澤流の仁和寺、更には南都古宗までが独自の訓読法を持つようになった。

本冊では、同一文の経類や儀軌類が、それぞれの宗派で異なった訓読文として伝承されていく過程を現存する諸種の訓点本によって具体的に明らかにした。

 

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