目次
はじめに
序 章 江戸期女性の身分・位地
一 身分
二 位地
第一部 女性たちのくらし
第一章 家・家制度・家族および家族関係
一 家と女性
二 家・経営体
(1)複合家族――分解から再結合へ――
(2)一家の柱=夫亡き後の妻の処遇
(3)雇用関係=主従関係からの解放(脱出)
(4)変化する「家父長制イデオロギー」
(5)「離縁」がもたらす子どもへの影響
三 家族関係をめぐって
(1)歴史の中の「父と子」
(2)夫と妻の在り方の変化
(3)祖父母と孫との生活〔祖父と孫/父と娘〕
(4)福沢諭吉の子育て
第二章 女性の労働
一 農村女性の労働
(1)農作業における「女子労働」の位置づけ
(2)女性と田植え
(3)「会津風土記風俗帳」にみる変化
(4)農間稼ぎ
二 衣料生産と女性
(1)糸取り・苧うみと女性
(2)開港と女性
(3)富岡製糸場と女性
(4)富岡製糸場開業に向けて
(5)退場者の続出
(6)退場の事情
(7)工場内の有様
(8)工女たちの日常(松代工女たちの場合)
三 奉公人
(1)下女奉公
(2)遊女奉公
(3)その他の奉公
(4)その他の働き
第三章 くらし
一 養生論をめぐって
(1)「養生論」の画期
(2)小石川養生所
(3)医院での一コマ
(4)長寿を求めて
(5)「老い」の指標
(6)中井竹山の「養老観」(「養老」から「敬老」へ)
(7)「養老策」の実施
(8)老後のしあわせ
(9)介護と女性
二 避けて通れなかった病気
(1)疱瘡をめぐって
(2)その他の病気
三 「死」
補 論 「しつけ」
一 「養育書」と「教訓書」
二 「心学」にみる
三 「しつけ」の実態
四 明治期の「しつけ」
五 母の役割
六 大正から昭和へ
第二部 女子教育
第一章 女子教育
一 初等教育
二 武家の女性は?
三 女師匠の登場
(1)寺子屋の師匠の役割
(2)女学校設立の動き
(3)女子の学び
四 女子用の教科書をめぐって
五 リテラシーについて
(1)文字を駆使した女性(『塵塚日記』)にみる
六 諸藩の動き
七 幕末維新期のようす
(1)女経営主の分布
(2)幕末明治初年の教育事情
(3)江戸から明治へ
第二章 「女大学」をめぐって
一 女訓書とは
(1)平仮名・女手
二 「女大学」考
(1)「女大学」と「女今川」
(2)「女大学」をめぐる議論
三 岸田俊子と「女大学」
(1)女子大演説会での出来事(大津事件)
(2)俊子の演説「函入娘」
(3)俊子の「女大学」観
(4)俊子がめざした女子教育
四 吉田松陰と女性たち
(1)松陰の家族
(2)書簡にみる松陰の女子教育観
(3)女学校設立の訴え・松陰と「女大学」
(4)松陰、「烈婦」を讃える
五 「女大学」が辿ってきた道
(1)「女大学」を継承する立場から
(2)「女大学」を批判する立場から
第三章 望まれる女性像
一 江戸時代
二 幕末維新期
三 明治一〇年代
四 明治二〇年代以降
五 明治期後半
六 大正初年
七 昭和に入って
八 その後の行方
参考文献一覧
主要参考資史料
あとがき
内容説明
【はじめに より】
私たちは現在、比較的身近に江戸期の資史料に触れることが出来る。その多彩な資史料には、当時の人々の姿が如実に示されているが、その資史料に登場する「人」、漠然と述べられている無人称の「人」の中には、往々にして女性は含まれていない。「一般論」として記されている書き物に登場する「人」とは、主として男性であり、女性ではないことが多い。言い換えれば、資史料を記述する人の眼中には、女性はいないこと、女性の存在は、意識外に置かれることが多かったといってよいのかも知れない。(中略)本書では、余り眼中にされて来なかった女性、なかでも、圧倒的多数を占めていた庶人の女性に焦点を当てて検討を加えていきたい。