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近世の孝子伝・孝義伝

――『会津孝子伝』 ・『石見国宇野村孝子伝』 ・ 『若州良民伝』 ・『筑前国孝子良民伝』――

近世の孝子伝・孝義伝

◎江戸幕府の庶民政策を具体的事例から考察する

著者 菅野 則子
ジャンル 日本史
日本史 > 近世
出版年月日 2021/04/26
ISBN 9784762942372
判型・ページ数 A5・404ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次


凡 例

はじめに
(一)『官刻孝義録』とは 
    〈時期的特徴〉・〈地域的特徴〉
    〈『官刻孝義録』の役割〉
    〈『官刻孝義録』の前史としての「孝子伝」・「孝義伝」〉
    〈『官刻孝義録』の後に〉
(二)『続編孝義録料』の検討 
    〈「続編孝義録料」収載事例〉
(三)『備前国孝子伝』についての些かの検討
(四)『肥後孝子伝』の検討
(五)幕末維新期以降の動向

『会津孝子伝』解題
『会津孝子伝』本文

『石見国宇野村孝子伝』解題
『石見国宇野村孝子伝』本文

『若州良民伝』解題
『若州良民伝』本文

『筑前国孝子良民伝』解題
『筑前国孝子良民伝』本文

あとがき

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内容説明

【はじめに より】(抜粋)
 「表彰」とは、何なのか。ある人の行為が、とくに勝れていたり、なかなかなし得ないような事柄に好果をもたらしたり、「善行」をしたような場合に、それらの営為を称え、人びとに広く示していくことといてよいだろう。しかし、誰が、何の為に「表彰」するのかということを加味して考えてみると、少々異なっ意味合いが加わる。たとえば、色々と不都合な事柄が続出しているような状況下、その不都合を糺すべき一の手段として、その不都合とは対照的な営為を手本としてを示すために、あえて「表彰」行為が企図されるともある。ごく自然に行われる「人を称える」行為が、時には、その背後に何らかの意図が組み込まれたり強調される場合も少なくなかった。『官刻孝義録』刊行は、それに該当するひとつの側面を持っていた。『官刻孝義録』は、各地でそれまでに行われた多様な「表彰」事例をかき集め、それらを人々に生き方の「見本」として示すことに主たるねらいがあった。十八世紀末から十九世紀にかけてのことであった。幕府の命に従って全国から提出された事例の多くは、「孝行」として表彰されたものであり、すでに各地で刊行されていた「孝子伝」・「孝義伝」に依拠するものが少なくなかった。以下に、『官刻孝義録』、および、それとの関連で、筆者が直接関わってきた資史料に絞り、これ迄取り組んできた「孝子伝」・「孝義伝」がらみの研究を振り返りつつ、いくつかの補足をしていきたい。

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