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『朱子語類』訳注巻八四~巻八十六「礼」(一)〔第10回配本〕

『朱子語類』訳注巻八四~巻八十六「礼」(一)〔第10回配本〕

『朱子語類』訳注 第十回配本 「礼」(一)刊行なる(全三冊予定)

著者 吾妻 重二
井澤 耕一
洲脇 武志
ジャンル 中国思想・哲学
中国思想・哲学 > 明清
シリーズ 『朱子語類』訳注
出版年月日 2014/12/11
ISBN 9784762913099
判型・ページ数 A5・370ページ
定価 5,500円(本体5,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに(吾妻重二)/凡 例
『朱子語類』訳注 
巻八十四 礼一 論考礼綱領/論後世礼書/論修礼書
巻八十五 礼二 儀礼〔総論・士冠・士昏・郷飲酒・聘礼・公食大夫礼・覲礼・喪服経伝・既夕・小牢饋食〕
巻八十六 礼三 周礼〔総論・論近世諸儒説・天官・地官・春官・夏官・秋官・冬官〕
人名索引/語彙索引 

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内容説明

【はじめに】より(抜粋)

本書は『朱子語類』巻八十四から巻八十六の訳注であり、礼関係部分の訳注の第一冊目にあたる。

そもそも『朱子語類』の礼関係部分は、次に示すように同書全百四十巻のうちの八巻を占めている。

  巻八十四 礼一 論考礼綱領 論後世礼書 論修礼書

  巻八十五 礼二 儀礼  巻八十六 礼三 周礼  巻八十七 礼四 小戴礼

  巻八十八 礼五 大戴礼 巻八十九 礼六 冠昏喪 巻九十  礼七 祭  巻九十一 礼八 雑儀

ここに収めたのはこのうち礼一から礼三までの部分であり、礼に関する総論的議論や礼書編纂に関する方針、さらに『儀礼』と『周礼』に関する対話からなっている。これ以降の礼四から礼八までの訳注も、今後順次刊行していく予定である。ここで、朱熹にとって礼とは何であったかを簡単に見ておこう。一言でいえば、礼は「理」を目に見えるかたちで具現化したものであった。朱熹は『論語集注』の中で、礼は天理の節文、人事の儀則なり。(学而篇「禮之用、和爲貴」章)という有名な定義を下している。「天理の節文」とは、抽象的な天理が節目をもった文あるものとして現われていることをいい、「人事の儀則」とは、それが人間行為ののっとるべき準則になっていることをいう。朱熹はまた、礼と理の関係について次のようにいっている。

  礼は即ち理なり。但だ之を理と謂うのみなれば、即ち未だ形迹の言うべき有らざるが若しと疑うも、制して礼と為れば、即ち品節文章の見るべき有り。人事の五の如き者(五倫をいうか)は固より皆な其の大概の宜しき所を見るべきも、然れども礼の上に到りて方めて其の威儀法則の詳らかなるを見るなり。(「答曾択之」一、『朱文公文集』巻六十)

 つまり、単に「理」というだけでは「形迹」のない抽象的な観念に陥ってしまいがちだが、「礼」としてそれが具体化されるとき、人は人間行為の正しい準則を目に見えるかたちでとらえることができるという。ここにいう「礼即理」という発言は、実はいろいろな問題を含むのだが、少なくとも礼が理と不可分に結びついていること、したがってまた礼が朱熹にとってきわめて重要なものであったことを、はっきりあらわしている。これらの朱熹の発言を見れば、朱熹における礼とは、人間がまさにそれにのっとって行動すべき準則を意味していたこと、したがってまた理にかかわる本質的なものだったことがわかる。朱熹が冠婚喪祭の規範書として『家礼』を著わし、また晩年、中国古代礼制の総合的研究書というべき『儀礼経伝通解』の編纂に情熱を傾けたのは偶然ではないのであって、これらは朱熹の学問の根幹にかかわる作業なのであった。儀礼が朱子学にとって欠かすことのできない重要なものであったことが知られるであろう。

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