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『朱子語類』訳注巻十四 〔大学一〕 第8回配本

『朱子語類』訳注巻十四 〔大学一〕 第8回配本

◎『朱子語類』訳注 第二期第一回配本「大学一」刊行開始!

著者 中 純夫
朱子語類大学篇研究会
ジャンル 中国思想・哲学
中国思想・哲学 > 明清
シリーズ 『朱子語類』訳注
出版年月日 2013/12/06
ISBN 9784762913075
判型・ページ数 A5・304ページ
定価 5,500円(本体5,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

【はしがき】より(抜粋)

本書は『朱子語類』卷一四の譯注である。朱熹(一一三〇~一二〇〇)の語を分類編纂した書物である『朱子語類』全一四〇卷のうち、『大學』に關する朱熹の語を集めた部分が卷一四~一八(『大學』一~五)である。各卷の内容は以下の通り。

 卷一四 大學一「綱領」「序」「經」上/卷一五 大學二「經」下

 卷一六 大學三「傳一章」至「傳一〇章」/卷一七 大學四「或問」上(「經一章」至「傳三章」)

 卷一八 大學五「或問」下(「傳五章」至「傳一〇章」)

本書はこのうち卷一四の譯注であり、以下、卷一八までの譯注を順次刊行していく豫定である。

『大學』は『中庸』とともに原來は『禮記』中の一篇であったものを、朱熹が單行本として拔き出し、 分章を施し注釋を加えた。それが『大學章句』及び『中庸章句』であり、これに同じく朱熹撰の『論語集注』と『孟子集注』を加えた四書が『四書集注』である。『大學』『中庸』がそれぞれ『禮記』中から拔き出されて注釋を施されたのは、朱子學の學問方法論や人性論、鬼神論などを構築・展開していく上で極

めて重要な典據となるべき資料が、この兩書中に集中的に存在することに、朱熹が着目したからに他ならない。『大學』に關して言えば、そのいわゆる「三綱領」と「八條目」は、修己治人の雙方を包括した朱子學の學問方法論の骨格をなすものである。とりわけ「八條目」中の「格物」「致知」は朱熹によって「即物窮理」の意に解釋され、理氣二元論によって構築された朱子學の存在論、人性論とその學問方法論とが有機的かつ整合的に一つの學問體系を構成する上で、極めて重要かつ基礎的な要素となっている。その朱熹の『大學』解釋を知る上で基礎資料となるのが『大學章句』『大學或問』及びここに譯出する『朱子語類』卷一四~一八(『大學』一~五)である。

後に明の王守仁(一四七二~一五二八)は朱子學を批判して陽明學を創始するが、朱子學と陽明學の最 大の對立點の一つが、その『大學』解釋にあった。朱熹は『禮記』所收「大學」のテキストには錯簡や衍文・ 闕文があるとして、『大學章句』撰述に際して大幅にテキストに改編を施した。しかし王守仁は朱熹による改編を否定して古本大學(『禮記』所收「大學」)をテキストとして採用、「三綱領」の第二「新民」(朱熹が『禮記』「大學」の「親民」を「新民」の誤りであるとして書き改めたもの)を舊に復して「親民」説を主張、「格物」「致知」を「即物窮理」とする朱熹の解釋を否定して獨自に「致良知」説を提起した。

 このように中國近世思想史上の二大潮流を爲す朱子學と陽明學の主要な對立點がその『大學』解釋に起因している點に鑑みても、朱熹の『大學』解釋を示す基礎資料である『朱子語類』卷一四~一八は思想史的に極めて重要な文獻であると言うことができる。

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