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「古典中國」の形成と王莽

「古典中國」の形成と王莽

◎中国の理想的国家モデル「古典中国」を形成した王莽の大きな役割とその具体像の解明

著者 渡邉 義浩
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
出版年月日 2019/08/29
ISBN 9784762966385
判型・ページ数 A5・412ページ
定価 9,350円(本体8,500円+税)
在庫 在庫あり
 

目次


序章 中国史の時代区分と「古典中国」
 一、日本における中国史の時代区分論争         
 二、中国国家・社会の規範  
 三、「古典中国」の成立と展開

第一章 『漢書』が描く「古典中国」像
 一、『史記』と『漢書』の劉邦像            
 二、文帝像の儒教化
 三、『漢書』の材料                  
 四、儒者の理想化

第二章 災異から革命へ
 一、武帝の後継者     
 二、眭弘の上奏       
 三、革命思想の普及

第三章 劉向の『列女伝』と「春秋三伝」
 一、姉妹と公羊伝     
 二、親迎と穀梁伝      
 三、美色と左氏伝

第四章 劉歆の「七略」と儒教一尊
 一、並立から統一へ    
 二、道家の優越       
 三、儒教一尊

第五章 王莽の革命と古文学
 一、周公と『尚書大伝』  
 二、舜と『春秋左氏伝』   
 三、『周礼』と太平の実現

第六章 王莽の官制と統治政策
 一、爵制と官制      
 二、封土と地方行政     
 三、井田と爵位

第七章 王莽の経済政策と『周礼』
 一、五将十侯       
 二、民と利を争う      
 三、『周礼』と『管子』

第八章 理念の帝国
 一、王者の徳を示す夷狄  
 二、「大一統」における夷狄の位置
 三、夷狄を従える理念の帝国

第九章 「古典中国」の形成と王莽
 一、古典的国制への提言  
 二、普遍性と「漢家の故事」 
 三、古文学への傾斜

第十章 元始中の故事と後漢の礼制
 一、古文学の重み     
 二、古文学から今文学へ   
 三、漢家の故事

第十一章 規範としての「古典中国」
 一、「儒教国家」の五つの指標  
 二、中国社会の規範  
 三、『白虎通』の影響

第十二章 漢書学の展開と「古典中国」
 一、漢書学の展開     
 二、規範の書        
 三、「漢」の「古典中国」化

終章 「古典中国」における王莽の位置
 一、『漢書』の偏向と儒教一尊             
 二、「古典中国」の形成と王莽
 三、「古典中国」の成立と展開

附章 二千年の定説を覆す
      ──書評、福井重雅著『漢代儒教の史的研究』──
 一、緒言 漢代儒教の官学化をめぐる諸問題       
 二、第一篇 五経博士の研究
 三、第二篇 董仲舒の研究               
 四、第三篇 班固『漢書』の研究
 五、描き出された水準とこれからの課題


文献表
あとがき

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内容説明

【あとがきより】

本書は、『後漢国家の支配と儒教』(雄山閣出版、一九九五年)、『後漢における「儒教国家」の成立』(汲古書院、二〇〇九年)を承け、「儒教国家」を一側面として持つ「古典中国」の形成について論じたものである。刊行の順序が逆になったが、『「古典中国」における文学と儒教』(汲古書院、二〇一五年)、『「古典中国」における小説と儒教』(汲古書院、二〇一七年)は、本書で扱う「古典中国」の成立した中国における文学の儒教との関わりを示したものであり、本書で規定する「古典中国」を前提としている。
「古典中国」とは、中国の国家や社会が危機を迎えたとき、自らの再建のために参照する国家・社会像をいう。博士論文である『後漢国家の支配と儒教』(前掲)では、儒教の国教化を後漢の章帝期に求めて、そこで「儒教国家」が成立するとの仮説を提示した。それを承けた『後漢における「儒教国家」の成立』(前掲)では、「儒教国家」を形成する経義を鄭玄への流れの中で追究した。
本書は、後漢「儒教国家」のもとで成立した社会の規範をあわせて、「古典中国」と呼称すると共に、その成立過程を王莽を中心としながら論じたものである。

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