内容説明
【序論 「儒教の国教化」をめぐる議論と本書の方法論】より
本書は、後漢における「儒教国家」の成立により「儒教の国教化」が完成した、という仮説を論証することを目的とする。仮説そのものは、すでに渡邉義浩《一九九五》で提出しているが、四年間にわたる中国思想史研究者との共同研究の結果、若干の定義の変更を行い、渡邉義浩《一九九五》で不足していた経典に則した「儒教国家」成立の議論を展開するものである。
【内容目次】
序 論 「儒教の国教化」をめぐる議論と本書の方法論
第一篇 国政の運用と儒教経典
第一章 両漢における春秋三伝と国政
武帝期までの前漢の国政と公羊伝/宣帝期の国政と穀梁伝/
劉向・劉歆と左氏伝/後漢の国政と公羊伝・左氏伝の相剋
第二章 『白虎通』に現れた後漢儒教の固有性
宗教性/国制との緊密性/臣下への配慮
第三章 後漢における礼と故事
前漢における故事と法制/古制の台頭と「周公の故事」/
後漢における故事の役割
第四章 両漢における華夷思想の展開
公羊伝と穀梁伝/稱臣と不臣/何休の夷狄観
第二篇 君主権の正統化と祭祀・儀礼
第五章 鄭箋の感生帝説と六天説
鄭箋に見える感生帝説/六天説と感生帝説/
漢家の祭天と六天説
第六章 両漢における天の祭祀と六天説
両漢における天の祭祀/鄭玄の六天説と緯書/皇帝・天子と
天子為公・天下為家/永遠なる天と革命を支える天
第七章 漢魏における皇帝即位と天子即位
『白虎通』における君主の即位/伝位における君主の即位/
禅譲における君主の即位
第八章 「魏公卿上尊號奏」にみる漢魏革命の正統性
漢魏革命の経緯/「魏公卿上尊號奏」/人的構成の分析
第九章 「受禅表」における『尚書』の重視
「受禅表」碑にみる漢魏革命の正統性/『尚書』顧命篇に記
される即位の二重性/圖讖から『尚書』へ
結 論 後漢における「儒教国家」の成立