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四庫提要宋代總集研究

四庫提要宋代總集研究

二十年にわたる「四庫提要宋代別集・總集研究」の完結編なる

著者 筧文生
野村鮎子
出版年月日 2013/01/18
ISBN 9784762929991
判型・ページ数 A5・360ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 説――『四庫提要』にみる宋代總集評價 野村鮎子
凡 例
一 楊憶編 西崑酬唱集二巻           二 鄧忠臣等撰 同文館唱和詩十巻

三 孔延之編 會稽掇英總集二十巻        四 孔文仲等撰 淸江三孔集四十巻
五 劉渙等撰 三劉家集一巻           六 程顥 程頤撰 二程文集十三巻 附録二巻
七 闕名編 宋文選三十二巻           八 邵浩編 坡門酬唱集二十三巻
九 蒲積中編 古今歳時雜咏四十六巻       十 董■編 嚴陵集九巻
十一 朱子 張栻等編 南嶽倡酬集一巻 附録一巻 十二 孫紹遠編 聲畫集八巻
十三 呂祖謙編 宋文鑑一百五十巻        十四 呂祖謙編 古文關鍵二巻
十五 桑世昌編 囘文類聚四巻 補遺一巻     十六 魏齊賢 葉棻編 五百家播芳大全文粹一百十巻
十七 樓昉撰 崇古文訣三十五巻         十八 傳袁説友編 成都文類五十巻
十九 眞徳秀編 文章正宗二十巻 續集二十巻   
二〇 李庚 林師■等編 天台前集三巻 前集別編一巻 續集三巻 續集別編六巻
二一 林表民編 赤城集十八巻          二二 湯漢編 妙絶古今四巻
二三 傳陳起編 江湖小集九十五巻        二四 傳陳起編 江湖後集二十四巻
二五 魏天應編 論學繩尺十巻          二六 傳鄭虎臣編 呉都文粹九巻
二七 王霆震編 古文集成前集七十八巻      二八 謝枋得編 文章軌範七巻
二九 呉渭編 月泉吟社一巻           三〇 傳陳亮編 蘇門六君子文粹七十巻
三一 闕名編 十先生奥論四十巻         三二 闕名編 詩家鼎臠二巻
三三 陳思編 兩宋名賢小集三百八十巻      三四 柴望等撰 柴氏四隱集三巻
あとがき・索引

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内容説明

【序 説】より(抜粋)

『四庫全書總目提要』に著録される總集は、一百六十五種、九千九百四十七巻に及ぶ。その大半は、明代以降の書であるが、ここに宋代總集が三十四種含まれている。本書は、この三十四種の宋代總集の提要についての研究書であり、また、これまでに上梓した『四庫提要北宋五十家研究』と『四庫提要南宋五十家研究』とあわせた四庫提要宋代集部研究の最終章にあたる。なお、本書でいう宋代總集とは、宋代の文人によって編まれ、かつ宋代の詩文が収録篇中に含まれている詩文集を指す。……論者は宋代總集研究によって、編纂者の文學的志向や時代特有の文學觀を考察することができるという見通しをもっている。總集が編者の文學觀の反映であることは、『四庫提要』が唐の總集について論じた個所ですでに指摘するところである。さらに、宋代の總集に特徴的ともいえるのが、編集テーマの多様化である。『會稽掇英總集』・『天台集』・『赤城集』・『成都文類』などのように詩派や文派にかかわらず特定の地域をテーマとしたものや、『同文館唱和詩』・『坡門酬唱集』のように文人の唱和詩を集めたもの、『古今歳時雜咏』や『聲畫集』のように詩の主題によって編纂したもの、『月泉吟社』のように詩のコンテストの入賞作を集めたものなど、一口に總集といっても多くのバリエーションが存在する。總集は、當時の人々や特定の詩派がどのような作品を精華と考えていたかという文學觀を反映しており、宋人によるバラエティに富む總集の編纂は、文學觀の多元化を意味していよう。今、『四庫全書總目提要』に著録される三十四種の宋代總集を編纂テーマによっておおまかに分類してみると、次のようになる。

①唱和詩集    『西崑酬唱集』、『同文館唱和詩』、『坡門酬唱集』、『南嶽倡酬集』。

②一族の合編文集 『淸江三孔集』、『三劉家集』、『二程文集・附録』、『柴氏四隱集』。

③地方文獻の薈萃 『會稽掇英總集』、『嚴陵集』、『成都文類』、『天台前集・前集別編・續集・續集別集』、

『赤城集』、『呉都文粹』。

④文粹・詩選

 詩文選・・・『宋文選』、『宋文鑑』、『五百家播芳大全粹』、『蘇門六君子文粹』、『詩家鼎臠』。

   評 選・・・『古文關鍵』、『崇古文訣』、『文章正宗・續集』、『妙絶古今』、『古文集成前集』、『文章軌範』。

   模範解答集・・・『論學繩尺』、『十先生奥論』。

⑤主題による詩選『古今歳時雜咏』、『聲畫集』、『囘文類聚』。

⑥詩社の吟詠評選『月泉吟社』。

⑦詩人小集の合編『江湖小集』、『兩宋名賢小集』、『江湖後集』

・・・宋代總集の四庫全書本には版本上の問題が少なくない。しかし、それを踏まえたうえでそこに分け入れば冗繁と蕪雜の中から、宋代における文學のありようや書物の編纂、出版、流傳をめぐる人々の營みがわたしたちの前に立ち現われて來よう。宋代總集についての研究は、時空を超えて、その書がかつて置かれていたであろう臨安宗學巷の書坊の店先へとわたしたちを誘ってくれるはずである。

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