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宋詞と言葉

宋詞と言葉

中唐から宋元までの「詞」と「詩文」をトータルに把握し、宋代文学を俯瞰する!

著者 中原 健二
ジャンル 中国古典(文学) > 唐宋元
出版年月日 2009/09/08
ISBN 9484762928673
判型・ページ数 A5・418ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

第一部 宋詞とその表現】より

詞は唐代に発生した文学様式だが、唐代においては、温庭筠などの一部の詩人がこれに手を染めて、文学としての洗練を加えたものの、詞が広範に詩人たちに受け入れられたとは、五代をも含めて言い難い。詞が隆盛を見たのは宋代に至ってからで、後世、宋代を代表する文学様式と言われるようになる。しかし、それは詞がそれまでの伝統的な詩を凌駕する存在になったことを意味するわけではない。韻文文学の中心的位置はやはり詩が占めていた。… 詞のみ作って詩は作らない、という士大夫は、おそらく皆無だったのではあるまいか。しかし、宋代文学を考える場合、詞を特殊なものとして埒外に置いておくことはできない。なぜなら、詞を作らなかった、あるいは作ろうとしなかった詩人は、おそらく極めて少数であったと考えられるからである。宋代の士大夫にとって、詩と詞は全く別物であったわけではない。いまに伝わる宋詞の大部分は、詩や散文の制作を文学活動の中心に置いていた士大夫たちによって書かれている。とは言え、詞は詩とはまた異なる形式をもち、かつ実際に歌唱される生きた歌辞文芸であったから、独自の魅力を有するとともに、詩とは異なる特性を持っていた。それは形式・内容はもちろんのこと、表現においても見ることができる。したがって、宋代文学を能う限りトータルに捉えるためには、詞という歌辞文芸について一定の理解を有していることは必要不可欠だと思う。

 

本書は、宋詞を広範に考察し、宋人の文学の特質を明らかにするものである。第一部では、詞という文学様式はどのように捉えるべきか、宋詞の特徴はどのような面に表れているのか、さらには詞は宋人にとってどのような存在であったかを考察し、第二部では、宋人は唐詩に見える詩語をどのように理解し、どのように使い、展開させたかを具体的に明らかにした。第三部では、元代江南における詞と北曲との関連を探り、元代において詞は歌唱されずに朗誦される歌辞文芸になった、という従来の通説に疑問を呈し、著者の検証結果を提示した。

 

【内容目次】

 第一部 宋詞の表現

  第一章 宋詞略説             

  第二章 宋詞の一側面―陳宓の詞を題材に

  第三章 温庭筠詞の修辞          

  第四章 柳永の艶詞とその表現 

  第五章 蘇東坡の悼亡詞          

  第六章 蘇東坡の「羽扇綸巾」とその変容

  第七章 「羽扇綸巾」の誕生

 第二部 宋人と詩語――継承と変容

  第一章 詩語「断腸」考          

  第二章 詩語「春帰」考

  第三章 李義山「楽遊原」と宋人      

  第四章 韓愈の「約心」と宋人

 第三部 詞と北曲

  第一章 元代江南における詞楽の伝承    

  第二章 元代江南における北曲と詞

  

  附論一:温庭筠詩における色彩語表現     

  附論二:詩語「三月尽」試論

  附論三:中原音韻序と葉宋英自度曲譜序

 

 あとがき・初出一覧・索引 

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