目次
上博楚簡『平王問鄭壽』の歴史的背景について ………………………………………… 大西克也
上海博楚簡『鄭子家喪』の史料的性格―小倉芳彦の学説と関連づけて― …………… 小寺 敦
上海博楚簡『君子為礼』の構成について ………………………………………………… 今田裕志
出土資料の思想編年をめぐる諸問題―上博楚簡『凡物流形』を中心にして― ……… 李 承律
『凡物流形』甲乙本の系譜関係―楚地におけるテキスト書写の実態とその背景― ……福田哲之
楚地出土文献に見える「執一」の思想―上博楚簡(七)『凡物流形』を中心に― … 谷中信一
『凡物流形』における「一」の思想構造とその位置 …………………… 王 中江・谷中信一訳
天水放馬灘秦簡『日書』乙種「行忌」考 ………………………………………………… 名和敏光
甘粛省天水放馬灘一号秦墓「志怪故事」註記 …………………………………………… 池澤 優
『老子』第一章「名」に関する問題の再検討―北大漢簡『老子』の公開を契機として― 曹 峰
「難波津」の落書再考―「習書」と「落書(すさび書き)」のあいだ― ……………・ 八木京子
首陽吉金「龍紋盤」(■■盤)銘文真偽探求 ……………………………………………・ 袁 國華
再談郭店簡《語叢四》8、9号簡與《荘子・胠篋》之関係及相関問題 …………… 郭 永秉
戦国晩期楚墓的断代與郭店M1楚墓的年代研究 ……………………………………… 張 昌平
従夫婦合葬、「塼」與「至俑」論上博(四)〈昭王毀室〉中「君子」的身份意義
………… 沈 寶春
従《総物流形》第一章釈詁論戦国末期道教祭辞的萌芽 ………… 郭 静云(Olga Gorodetskaya)
東漢晩期民事訴訟與調解制度之考察―以“光和六年自相和従書”為例― … 呂 静・何 立民
内容説明
【序文】より(抜粋)
本書は、平成一九年度から二一年度に亘る三年間の日本学術振興会科学研究費助成による基盤研究(b)「新出土資料を通してみた古代東アジア世界の諸相―漢字文化圏の中の地域性―」(課題番号:20320009)の研究成果である。本書に収めてある論文一七篇は、いわゆる漢字文化圏で発見された青銅器も含む出土資料全般についての研究論文である。漢字文化圏とは言いながら、中国大陸での新出楚簡に関する論文に集中しているのは、現在の出土状況を考えればやむを得ないことである。われわれ研究グループは、みなそれぞれ異なる研究分野を持ち、それぞれの研究テーマに沿って研究しているのであるが、その一方で全員が出土資料を扱うという共通点を持っている。このことの意義は大きい。なぜならば、出土資料を単眼ではなく複眼で、言い換えれば対象を立体的に見ることができることになるからである。従って、本論文集は単なる研究成果の寄せ集めとは違う。例えば、『凡物流形』に関する論考が四本あるが、これらは全く別々の視点から独立して執筆されたものであり、始めから相互的連関を意図していたわけではないのであるが、先秦思想史や同文化史、中国古文字学、書法史など、それぞれ専攻を異にする立場から議論が展開している。また郭店楚墓の下葬年代をめぐって、思想史研究の立場と考古研究の立場からそれぞれ論が立てられており、両者の言い分は全く相容れないのであるが、読者はそうした白熱した論争に思わず引き込まれてしまうであろう。本論文集に展開される一七篇の論考を足場に新たな知見が掘り起こされ、そしてそこから更に活気に満ちた論争が展開していくならば、編者としてこれ以上の喜びはない。