目次
解題
武帝紀第一
文帝紀第二
明帝紀第三
三少帝紀第四
上三國志注表
補注索引
内容説明
【「魏書(一)」収録「解題 陳壽と『三國志』」より】(抜粋)
『三國志』を読解する際に、最も本質的な問題として踏まえるべきことは、朱彝尊ら清朝孝證學者(古 文獻を実証的に研究)が議論していた、なぜ陳壽は「三國」志として三國時代の史書を構成したのかにある。『三國志』が曹魏(二二〇~二六五年)だけを正統とする史書であるならば、『魏書』として著せばよい。事実、王沈の『魏書』・魚豢の『魏略』など、曹魏からの視覚のみで三國時代を記述する史書が曹魏では書かれており、また西晉においても、夏侯湛は『魏書』を著そうとしていた。三國すべてに本紀を置くのであれば、魏書・蜀書・呉書という三部構成も納得できる。魏書のみに本紀を置くにも拘らず、なぜ陳壽は「三國」志という形態により史書を編纂したのであろうか。こうした体裁の特徴は、天からの唯一の受命者であるはずの天子が鼎立する、という状況をいかに認識するのか、というすぐれて思想史的な問題へと繋がる。したがって、『三國志』が「三國」志として執筆された理由は、陳壽が学んだ蜀學の伝統から追究しなければならない。
『全譯三國志 第一冊 魏書(一)』正誤表 (2023/5/8掲載)