内閣文庫所蔵史籍叢刊古代中世篇 2
令集解(二)
内閣文庫所蔵史籍叢刊古代中世篇2 第七回配本
著者 | 石上 英一 監 |
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ジャンル | 日本史 日本史 > 古代 日本史 > 中世 |
シリーズ | 内閣文庫所蔵史籍叢刊 内閣文庫所蔵史籍叢刊 > 古代中世編 |
出版年月日 | 2014/09/25 |
ISBN | 9784762943010 |
判型・ページ数 | B5・488ページ |
定価 | 22,000円(本体20,000円+税) |
在庫 | 在庫あり |
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内容説明
『令集解』 一〇巻(伝来巻数) 惟宗直本撰 巻子装一〇軸 書写者不詳
残存巻:巻一官位、巻二職員一、巻三職員二、巻四職員三、巻五職員四、巻六職員五、巻七神裱僧尼、巻八僧尼、巻九戸、巻十戸の一〇巻
【解題「律・令集解の書誌」より】(抜粋)
国立公文書館内閣文庫架蔵の紅葉山文庫本律二巻(巻一・巻七)・令義解七巻(巻一、巻四〜巻八、巻十)・令集解一〇巻(巻一〜巻十)の律令三書のうち、本叢刊に掲載する律・令集解の書誌を記す。律と令集解は別書であるが、一六世紀末から一七世紀の時期に一体の書として書写され伝来した書であるので、ここに併せて書誌を記す。本稿では、便宜、紅葉山文庫本律・令義解・令集解を、紅葉山文庫本律令三書と称することがある。なお、令義解も一体の書として書誌を記すべきであるが、『紅葉山文庫本令義解』として朱墨二色刷り影印本が刊行され、水本浩典「解説」が付されているので、本叢刊には収載しない。なお、紅葉山文庫本律は、『譯注日本律令』四・律本文編別冊に掲載され、律諸写本の書誌解題を合せた小林宏「解説」が付されているが、墨単色刷影印であるので、訓点資料としての重要性に鑑み、朱墨二色刷影印として本叢刊に収載する次第である。現存する紅葉山文庫本律令三書は、装訂、料紙を共通にし、書写に数筆はあるとも見られるが、一気にかつ丹念に書写され美麗に表装された一体の一六世紀末〜一七世紀前半期の写本であり、鎌倉時代の写本ではない。金沢文庫所蔵の律令三書の系統の写本である紅葉山文庫本律令三書については、次の可能性が考えられる。
A慶長十九年に今出川晴季が、文禄二年に豊臣秀次から賜った金沢文庫本を家康に贈った場合
B慶長十九年に今出川晴季が金沢文庫本の写本を家康に贈った場合
右のABのうち、筆者は、どちらかと言えば、Bの可能性、すなわち紅葉山文庫本は今出川晴季が家康に贈った本である可能性が高いと考えるが、断定はできない。今後、筆跡、料紙、装訂の裱の絹・装飾紙や軸頭の分析などにより、慶長十九年八月までに今出川家により京で製作されたものか、寛永十三年に書物奉行により江戸で製作されたものかが解明されることになろう。紅葉山文庫本律令三書は、ABいずれにしても、金沢文庫架蔵の律・令義解・令集解(巻一〜巻十の本)の精密な転写本であり、律令研究の基礎資料となるものである。
律令研究で通常使用されるのは新訂増補国史大系本であるが、田中本令集解の影印本、紅葉山文庫本令義解の朱墨二色刷り影印本、そして広橋家本衛禁律・職制律・九条家本闘訟律断簡の影印版を掲載する『譯註日本律令』四と令義解・令集解の古写本や近世の写本の影印版を掲載する同十一の公刊により、また令集解の写本研究の進展により、写本に依拠した研究が進んでいる。本叢刊で、紅葉山文庫本律を二色刷写真版として朱点・訓点を見やすく収載したこと、新訂増補国史大系で対校本として使用された紅葉山文庫本令集解一〇巻を写真版で収載し、それぞれ簡便に利用できるようにしたことは、日本律令研究の展開に大きな役割を果たすことになろう。紅葉山文庫本令集解により、令集解巻一から巻十までの原文研究が進むことを期待している。また朱墨二色刷の紅葉山文庫本令義解・律を見ずしては、律令と令注釈書の訓読は成り立たない。古代法制史料の基礎教育においても本叢刊が利用されることに期待したい。