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内閣文庫所蔵史籍叢刊 古代中世篇 6

内閣文庫所蔵史籍叢刊 古代中世篇

◎「内閣文庫所蔵史籍叢刊」古代中世篇⑥(四回配本)『職原抄』・『吉口伝』刊行なる!

著者 新井 重行 解題
高田 義人 解題
ジャンル 日本史
日本史 > 古代
日本史 > 中世
シリーズ 内閣文庫所蔵史籍叢刊
内閣文庫所蔵史籍叢刊 > 古代中世編
出版年月日 2012/12/10
ISBN 9784762943058
判型・ページ数 B5・578ページ
定価 22,000円(本体20,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

『職原抄』

『職原抄』は北畠親房の撰になり、令制の官職および令外官など後置の官職を含めた朝廷の官職全般について、その沿革や職掌、相当位、定員、唐名等について述べた書。『職原鈔』とも。本文は、①正平二(一三四七)年の北畠顕統奥書を有する系統と、②北畠教具所持本に一条兼良が跋を加えた本の系統に大別でき、①は関東を中心に、②は京都を中心に広まった。本書は②の系統に連なる本文を、中原職忠の依頼によって 清原秀賢が校訂し、後附を加え、慶長十三(一六〇八)年に刊行したものである。これより先、後陽成天皇による慶長勅版、続いて伏見宮版の刊行があったが、本書はそれらに次ぐ古版本である。なお本書は上記二版本に比べ、行間に余裕を持たせたやや小振りの文字が用いられている。本書の本文は、大きく以下の四つに分けられる。

一、上巻 百官・二官八省

二、下巻 弾正台・京職・春宮坊・斎宮寮・斎院司・修理職・勘解由使・鋳銭司・諸使・検非違使・長者・別当・諸所・諸国・衛府・鎮守府・征夷使親王・公卿・諸王・諸臣・先一人・公達・諸大夫・侍

三、補遺 正一位~少初位院庁・親王執柄大臣家

四、後附 女官・院司・女院・関白家・僧官位・位署書式・十二階并四十八階・衛府等員数・官位相当略頌

このうち、上巻および下巻の征夷使までが北畠親房の『職原抄』である。なお親王~侍および補遺は一条兼良の後補とされており、これらを備えることが②の系統の本文の特徴である。また後附は清原秀賢の後補である。さきに掲げた古版本のうち慶長勅版には兼良の補遺を備え、また伏見宮版は兼良の補遺および秀賢の後附を収めることから、②の系統の本文を伝えた清原家が江戸時代初期の『職原抄』印行に深く関わったことが窺える。なお本書のテキストは、江戸時代に盛んに刊行された『職原抄』の祖本となったものである。

 

『吉口伝』

本書は吉田隆長(一二七七~一三五〇)が、兄定房(一二七四~一三三八)の公事に関する口伝・記録・ 書状を抄録して作成した故実書である。その内容は、(a)隆長が諸公事に関する故実を定房に尋ねた書状に、定房が故実などを勘し注し返送した勘返状、(b)定房の談話・口伝などを書き留めた記録、(c)定房の日記『吉槐記』からの引用文、によって構成される。このうち(a)は、隆長が蔵人頭に補された延慶元年(一三〇八)十二月より、翌年一月に及ぶ。(b)は本文中「一品被相語云」などと見え、収録期間は応長二年(一三一二)から正慶二年(一三三三)に及び、公事に関するものに限らず、鎌倉時代末期に流行した百王説、南北朝期の動乱が崇徳院の怨霊に起因する説など広く世上のこと等も記している。(c)は本文中「吉田記云」「吉田内府記云」などと引用される箇所もあるが、ほとんどは「某年某月某日記云」として引用されている。確認できる引用記事は正応六年(一二九三)から応長元年(一三一一)までのものであり、これによって残存状況の良くない『吉槐記』を補うことができる。

 当本には勧修寺経広の本奥書が存在し、そこに記される「正記」とは、勧修寺家に伝来した吉田隆長自筆本のことと考えられる。現在京都大学総合博物館所蔵の勧修寺家本『吉口伝』(一冊、請求番号二四七)が隆長自筆本に該当するとされているから、ここに見える「正記」はこの勧修寺家本のこととみられる。すなわち経広は、自家に伝わる隆長自筆本から新写本を作成するため、自筆本の体裁に倣い書写し、校合を行ない、共に目録も作成したようである。奥書は経広書写本の転写の状況を示す奥書であり、当本は奥書と第一丁右下の方形朱印「隆英之印」により八条隆英書写本であることが判明する。本文の所々に隆英による朱・墨筆の校訂箇所がみられる。ところで各所に蔵される『吉口伝』写本には広本と略本が存在する。当写本は広本に属する。

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