目次
凡 例
附 用語について
序 章 魏晋・〈五胡〉時代の塼画墓・壁画墓
第一節 塼画墓・壁画墓の調査と研究
第二節 塼画墓・壁画墓研究の成果と課題
第一章 塼画墓・壁画墓の出現
第一節 下河清一号墓
第二節 門楼墓の展開
第三節 塼画墓・壁画墓の展開
第二章 塼画墓・壁画墓の時間と空間
第一節 時間と空間
第二節 塋域からみた塼画墓・壁画墓
第三節 門楼からみた塼画墓・壁画墓
附 章 嘉峪関新城墓群の春秋
第一節 新城墓群――塼画墓を中心として
第二節 新城一号墓の位相
第三節 新城塼画墓の周辺
第三章 天上と地下――河西発現、魏晋・〈五胡〉墓の冥界観
第一節 研究史の整理と問題点
第二節 墓 室
第三節 棺板画
第四節 門 楼
終 章 塼画墓・壁画墓と河西地域社会
第一節 薄葬令と河西地域社会
第二節 酒泉と敦煌
図表出典
引用史料
参考文献
あとがき
索 引
内容説明
【まえがき より】
本書は、中国の甘粛省西部にあたる河西地域(烏蛸嶺以北とする)で、魏晋・〈五胡十六国〉(以下、〈五胡〉)時代に築造された塼画墓・壁画墓を取りあげ、その分布状況や築造時期・年代、さらには図像の墓内位置やモチーフ(画題)・描き方(画法)などの問題について考察したものである。それは、この地域の一体性や共通性が強調される傾向が濃い史書の記述とは対照的に、この地域のもつ多様性や下位の小地域ごとの独自性を、叙上の視点や素材から明らかにすることができると思うからである。
(中略)……河西地域は郡の範囲を大きく超えて利害を共有し、連帯して運動するような「地域」ではなかったのである。協働が実現したとしても、せいぜいが隣接する複数の郡の範囲にとどまっていた。これが、史書からわかる河西地域の多様性ないしは下位の小地域ごとの独自性と呼びうる事象である。本書で取りあげる塼画墓・壁画墓はあくまでも喪葬文化の一齣にすぎないが、史書からうかがえるこのような一面とも重なりあいながら、それとはまた違った河西地域の多様性や下位の小地域ごとの独自性を私たちに教えてくれるのである。
【凡例 より】
本書で取りあげる河西地域出土の塼画(画像塼)・壁画のほとんどは、関尾編『河西魏晋・〈五胡〉墓出土図像資料(塼画・壁画)目録』(汲古書院、二〇一九年。以下『目録』および『河西魏晋・〈五胡〉墓出土図像資料(塼画・壁画)目録補遺/河西魏晋〈五胡〉墓出土鎮墓瓶銘(鎮墓文)集成補遺』(Nakazato Labo、二〇二一年。以下、前半部分を『目録補遺』、後半部分を『集成補遺』)において出土墓や墓内位置などに関するデータを整理済みのものである。したがって詳細については、『目録』もしくは『目録補遺』を併照願いたい。
A Study of Brick-painting Tombs and Wall-painting Tombs in the He-Xi (河西) Region