目次
二、「文化中国」の再検討 (小島毅)
三、中国史学の展開と儒教 (渡邉義浩)
四、フランス革命直前における中国の聖王と暴君情報
――張居正『帝鑑図説』仏訳に関して―― (井川義次)
五、道家の「無為によって治める」政治立場と
「戦わずに勝つ」戦争観 (趙現海/伊藤涼(訳))
六、「雅言」と「斟酌」――春秋期の『詩』の機能・意から義へ―― (牧角悦子)
七、日本鴻臚館の「漢詩外交」より見る
東アジアにおける中国文化の伝播 (趙瑩波/佐藤大朗(訳))
八、日本における劉向『列女傳』の受容
――松本萬年『標註劉向列女傳』を中心に―― (仙石知子)
九、司馬遷の「行国」史観とその後世への影響 (楊富学・樊麗沙/森田大智(訳))
一〇、中国文化の統一性と多様性
――行政都市網の変遷を手がかりに―― (妹尾達彦)
一一、王朝は「帝国」か――寰宇図と職貢図を中心として―― (成一農/鈴木雄大(訳))
一二、王弼再考――否定神学を超えて―― (中島隆博)
一三、殷人はなぜ神を尊ぶのか
――夏と殷の生産様式の違いに基づく検証―― (桓占偉/梁嘉浩(訳))
一四、全眞道の教学法における言教と身教 (宋学立/冨田絵美(訳))
一五、日本伝存資料を通してみる唐代典籍文化の統一性と多様性 (河野貴美子)
一六、八旗圏地制度の影響の広がり――清初撥補地考実―― (邱源媛/野澤亮(訳))
一七、中国古代禿頭攷 (柿沼陽平)
一八、「洒掃應對は便ち是れ形而上の事」
――朱子の小学と大学の関係に対する解釈―― (牟堅/永田小絵(訳))
総合討論
あとがき
英文要旨
内容説明
【あとがきより】
本論集は、東方学会が中国社会科学院古代史研究所と結んだ交流協定に基づき開催している中国文化研究国際論壇の成果の一部である。本論壇は、二〇二一年五月一五日・一六日に、早稲田大学を拠点とするオンラインで開催された。全体のテーマは、「中国文化の統一性と多様性(中国文化的統一性与多様性)」である。
地域的にも時間的にも、広大な範囲を包摂する中国文化は、統一性と多様性を両有する。たとえば、中国古代において長らく国家の支配理念であった儒教は、『春秋公羊伝』に基づく「大一統」を主張し、その歴史は、正史により収斂される。統一への方向性である。その一方で、中国社会には政治的にも民族的にも文化的にも多様性が満ちあふれておる。また、朝鮮半島や日本などの中国の周縁部に目を向けた場合、中国文化を「古典」と尊重する風潮が存在する一方で、民族・地域ごとの多様な文化や歴史が展開された。
本シンポジウムは、そうした「中国文化の統一性と多様性」に関する多くの報告とそれに対する討論が収録されている。本書に収録し得なかった内容については、英文要旨を参照されたい。
Unity and Diversity in Chinese Culture