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明代江南戯曲研究

明代江南戯曲研究

◎多くの関係資料を分析し、演劇発達の実態を導き出す!

著者 田仲一成
ジャンル 中国古典(文学)
中国古典(文学) > 明清
出版年月日 2020/02/27
ISBN 9784762966576
判型・ページ数 A5・756ページ
定価 18,700円(本体17,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

口 絵

序 
 

第一篇 江南戯曲の上演環境

 序 章 宋元時代の社の祭祀活動 

 第一章 社祭演劇の成立
  序 節 明代里社の演劇と元代社制との関係
  第一節 農耕組織としての「社」の演劇活動
  第二節 抑民組織としての「社」の演劇活動 
  第三節 救荒組織としての「社」の演劇活動
  第四節 社と里甲制の相互関係      
  第五節 小  結

 第二章 宗族演劇の成立
  序 節 社祭演劇分解の社会的背景       
  第一節 宗族演劇の萌芽
  第二節 江南宗族の俳優支配         
  第三節 宗族演劇の成立――冠婚葬祭
  第四節 小  結

 第三章 市場地演劇の成立
  序 節 村落間の交易市場と演劇        
  第一節 市場地演劇の萌芽――村落連合演劇
  第二節 市場地演劇の成立――市鎮演劇     
  第三節 市場地演劇の背景
  第四節 小  結


第二篇 江南演劇の戯曲演目の分化

 序 章 江南演劇における俳優・戯曲演目の階層分化

 第一章 社祭演劇の戯曲演目
  序 節 社祭演目の種類            
  第一節 社祭演目Ⅰ――『鰲頭雑字』
  第二節 社祭演目Ⅱ――『風月錦囊』正篇    
  第三節 社祭演目Ⅲ――『風月錦囊』続篇
  第四節 小  結――守節

 第二章 宗族演劇の戯曲演目
  序 節 宗族演劇の場             
  第一節 家演演目Ⅰ――江蘇・浙江の事例
  第二節 家演演目Ⅱ――昆曲散齣        
  第三節 家演演目Ⅲ――遊賞・悲傷
  第四節 小  結――南戯から伝奇へ

 第三章 市場地演劇の戯曲演目
  序 節 市場地演劇の場            
  第一節 市場地演目Ⅰ――『万巻星羅』
  第二節 市場地演目Ⅱ――春節元宵扮装行列   
  第三節 市場地演目Ⅲ――山西楽戸迎神賽社
  第四節 小  結――武戯・民間宗教

 第四章 徽調・弋陽腔と地方演劇の展開
  序 節 市場地演目としての徽調戯曲の特色   
  第一節 家演演目系の徽調戯曲
  第二節 市場演目系の徽調演目         
  第三節 徽調・弋陽腔戯曲と地方演劇との関係
  第四節 小  結――徽州商人の市場展開と徽調戯曲


第三篇 江南古典戯曲のテキスト分化

 序 章 古典南戯――荊劉蔡(拝)殺

 第一章 琵 琶 記
  序 節 作品梗概・上演状況・テキスト    
  第一節 社祭テキスト:古本
  第二節 宗族テキスト:閩・京本        
  第三節 市場地テキスト:徽本
  第四節 近代地方劇テキスト:弋本       
  第五節 小  結

 第二章 荊 釵 記
  序 節 作品梗概・上演状況・テキスト     
  第一節 社祭テキスト:古本
  第二節 宗族テキスト:閩本・京本        
  第三節 市場地テキスト:徽本
  第四節 近代地方劇テキスト:弋本       
  第五節 小  結

 第三章 旧本白菖記
  序 節 作品梗概・上演状況・テキスト
  第一節 社祭テキスト(古本)から宗族テキスト(京本)への変遷
  第二節 近代呉本に見える古本の痕跡      
  第三節 小  結
  第三章 補論 新本白菖記

 第四章 拝月亭記
  序 節 作品梗概・上演状況・テキスト
  第一節 社祭テキスト(古本)から宗族テキスト(閩・京本)への変遷
  第二節 市場地テキスト(徽本)から近代地方劇テキスト(弋本)への変換
  第三節 小  結

 第五章 殺 狗 記
  序 節 作品梗概・上演状況・テキスト
  第一節 社祭テキスト(古本)から宗族テキスト(京本)への変遷
  第二節 社祭テキスト(古本)から市場テキスト(徽本・弋本)への変遷
  第三節 小  結


結 章 中国地方演劇の共時関係

付 論 北西廂記
 序 節 作品梗概・上演状況・テキスト
 第一節 社祭テキスト:古本          
 第二節 宗族テキスト:閩・京本
 第三節 案頭京本から修改京本へ
 第四節 市場地テキスト:徽本・弋本      
 第五節 小  結

 索引
 英文目次

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内容説明

【序より】(抜粋)

 本書は、明代の江南郷村社会において、どのようなタイプの戯曲が、どのような場において、どのような機能を担いながら、上演されていたか、また上演場面相互の間にはどのような関連があって、どのような相互作業を及ぼしあっていたか、などの問題を、共時論的、類型論的に考察したものである。明代の江南地域の農村社会においては、村落がしばしば一個または少数の大宗族によって構成され、その有力宗族は、村落祭祀、宗族祭祀、及び市場祭祀の三層の集団の祭祀組織、祭祀権力を掌握し、これらの祭祀組織によって祭祀の一環として運営される演劇及び戯曲の選択権をも掌握していた。このような構造に規定されて、明代江南の郷村社会において流行した戯曲は、多かれ少なかれ、宗族の利害関係によって影響を受けざるを得なかった。本書は、この点を主要な論点として、三つのレベルで問題を追及した。第一篇においては、明代江南において、演劇の場がどのように構成されていったかについて、検討した。第二篇においては、上記の社祭演劇、宗族演劇、市場地演劇の三層構造を形成する各場において、それぞれいかなる戯曲演目が選択されてきたかを、主に徽州の宗族社会の事例によって検討した。第三篇においては、上記の三層の場を通じて、いずれの場でも常に人気曲として、長期にわたり継続して演じられてきて、各地でテキストが刊行され、版本の種類が非常に多い、明代の代表的な戯曲、つまり琵琶記、西廂記、及び四大南戯(荊釵記、劉智遠白菖記、拝月亭記、殺狗記;【荊劉拝殺】の通称あり)について、それらの版本がやはり上演の場に対応して、社祭演劇用の「古本」、宗族演劇用の「京本」、市場地演劇用の「徽本」の三種に分化、分立していたことを論じた。



Jiangnan Drama in the Ming Era

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