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汲古叢書145 墓誌を用いた北魏史研究

汲古叢書145 墓誌を用いた北魏史研究

◎墓誌の量的処理・墓誌の基本的スタイルの理解から、史料としての性格を判断し、 従来の文献資料と併せ北魏政治社会史を考察する!

著者 窪添 慶文
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2017/09/07
ISBN 9784762960444
判型・ページ数 A5
定価 16,500円(本体15,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次



凡 例 
付 北魏王朝系図 

第Ⅰ部 北魏墓誌の位置

第1章 墓誌の起源とその定型化       
第2章 遷都後の北魏墓誌に関する補考
第3章 北魏墓誌中の銘辞

第Ⅱ部 墓誌を用いた北魏官僚制研究

第1章 正史と墓誌の官職記載の比較――北魏墓誌の官歴記載を中心に――
第2章 北魏後期における将軍号       
第3章 北魏後期の官僚の遷転
第4章 北魏後期における品と階       
第5章 北魏後期の門閥制――起家官と姓族分定――
第5章補論 北魏後期の門閥制に関わる覚書

第Ⅲ部 石刻資料を用いた北魏史研究

第1章 北魏服属諸族覚書          
第2章 文成帝期の胡族と内朝官
第3章 北魏における滎陽鄭氏        
第4章 長楽馮氏に関する諸問題
第5章 北魏における弘農楊氏

あとがき/索 引

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内容説明

【「序」より】(抜粋)

一九七〇年代以降、特に一九九〇年代以降、簡牘の出土が相次ぎ、戦国秦漢期研究は活況を呈している。魏晋期においても、走馬楼呉簡や郴州晋簡の出土があり、それらは全体像はいまだ明らかでないにせよ、前者については活発な研究が行われている。同じく出土資料である墓誌も、従来知られていたものに加えて、やはり近年多くの墓誌が出土ないし「出現」している。墓誌は同時代資料である故に、文献資料の闕を補うものとして広く利用されてきた。筆者も中国史研究に取り組み始めた頃から、墓誌を用いており、『石刻題跋索引』は最も早く備えた工具書のひとつである。ただ筆者を含め、墓誌の利用は、諱や字、生没年、本貫、官歴、婚姻関係などを知り、補うということが中心であり、言うならば必要なところだけを取り出す「便利使い」の対象としたものが多いように思われる。しかし、墓誌を史料として用いる場合、後に述べるように様々な問題があり、安易な利用は避けなければならない。筆者は長年魏晋南北朝、特に北魏の官僚制の問題に取り組んできた。それらは二〇〇三年に『魏晋南北朝官僚制研究』(汲古書院)としてまとめたが、それらのいわば基礎的研究の先にあるはずの魏晋南北朝時代の官僚制の正確な理解、さらには貴族制、特に北魏後期のそれの問題にせまるには、どうすればよいか考えていた時、科学研究費補助金の分担研究者として担当したテーマが墓誌に決まり、それに取り組む中で、それまでとは異なる形での墓誌の利用によって、上記の問題をクリアできるのではないかと考えるようになった。まず、墓誌の歴史について理解を深めることである。墓誌には基本となるスタイルがある。それがどのようにして出来あがってくるのかを理解すること、それが明らかとなれば墓誌は何のために作られるのかという墓誌の最も基本的な性格の解明につながる。また基本的なスタイルからはずれた墓誌があれば、それは何故かということから、その墓誌の史料としての性格を判断できよう。第Ⅰ部はこの観点の下で行った研究である。次に、墓誌を量的に処理することである。例えば個別の墓誌の官歴を正史の官歴と比較しても、それはひとつの事例にしかならない。しかし、墓誌と正史の双方をもつ多数の人物の官歴を比較すれば、そこから得られる結論は一定の信頼性をもってくるであろうし、その結果は当該時期の官僚制理解に大きく資することになろう。この観点から行った一連の研究を第Ⅱ部としてまとめる。第三に、文献史料と墓誌を併用して政治社会史を追求すること。これは従来多く行われた方法であるが、筆者の場合、やはりできる限り多くの墓誌を用いるように心掛けている。第Ⅲ部にはこの観点からの研究をまとめた。

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