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隋唐佛教社會の基層構造の研究 明治大学東洋史資料叢刊12

隋唐佛教社會の基層構造の研究

◎中国社会に佛教が浸透し、人々の日常生活と一体化した隋唐時代を考察する

著者 氣賀澤 保規
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
出版年月日 2015/09/30
ISBN 9784762995125
判型・ページ数 B5・364ページ
定価 4,400円(本体4,000円+税)
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

【主要目次】
序 ………………………………………………………………………………………………… 氣賀澤 保規
河北曲陽の八会寺隋仏教石経とその背景 …………………………………………………… 氣賀澤 保規
安岳臥仏院の刻経と涅槃大仏
―唐代四川の仏教社会基層構造の一断面 ……………………………………………… 肥田 路美
晋城硤石山青蓮寺所蔵の唐碑 ………………………………………………………………… 松浦 典弘
天龍山石窟唐代窟の編年研究 ………………………………………………………………… 八木 春生
則天武后による儀鳳の舎利頒布
―山西潞州の梵境寺儀鳳三年舎利塔銘をてがかりに― ……………………………… 高瀬 奈津子
中国における蒙元時代(モンゴル時代)石刻研究の最前線 ……………………………… 櫻井 智美
北魏墓誌の「史料」的性格―追贈と改葬を手がかりに― ………………………………… 室山 留美子
隋煬帝墓誌の発見とその復元―唐初政治史の一側面― …………………………………… 氣賀澤 保規
唐代における山東五姓婚姻とその政治的影響力について   
―崔・盧・鄭氏婚姻表の作成による考察― …………………………………………… 前田 愛子
 北朝隋唐五代 山西南部仏教石刻目録 ……………………………………………………… 江川 式部

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内容説明

【「序」より】(抜粋)

  紀元前後の頃に中国に伝えられた仏教は、魏晋南北朝から隋唐時代におよぶ長い歳月のなかで、外来的インド的仏教の装いを拭い去り、中国社会に根ざした宗教、「中国的仏教」へと姿を変えた。この長い歴史過程の大きな転機となるのが、六世紀の後半に広まった「末法」思想、それに対する危機感から生まれた仏教界の革新運動であった。教団の肥大化と腐敗を批判し、人々の「今」の悩みや苦しみに応える新宗派、浄土教や三階教や天台宗などが成立し、他方、末法の到来に対抗して石の経典を後世に伝えようとする刻経事業が各地に展開したのは、この革新運動の成果であった。

  仏教はこうした段階を踏んで中国社会に深く浸透し、人々の日常の生活、行動や観念の領域にまで影響を与え、一体化していく。このように仏教と社会が分かちがたく結ばれた状態を、私は「仏教社会」の用語で表示し、隋唐国家の基層社会こそそれが最も当て嵌まるものと想定してきた。だがこれまで研究の多くは仏教というと決まってそこに距離を置こうとするが、果たしてそれは正しいやり方だろうか。そうした反省に立って、これまで領域が近接する方々と科研費などの支援を得て、「仏教社会」の痕跡につながる遺跡や文物を調査し、資料を収集する試みをつづけ、議論をする機会を多くつくってきた。

  その過程で私は多くの知的刺激を与えられ、「仏教社会」論への思いを強めてきた。そこで科研による共同研究に加わっていただいた方々に声をかけ、改めてその中でまとめた成果をブラッシュアップしたもの、新たに書き下ろしたものを提出いただき、一冊の論文集にまとめることにした。書名「中国佛教社會の基層構造の研究」は、上述した「仏教社会」の考え方と直近の科研費の題目に基づいて設定された。

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