目次
説数術革命――従亀卜筮占到式法選択――(中国語) (李 零)
数術革命を語る――亀卜・筮占から式法・選択へ――(日本語)(李 零(久保田 知敏 訳))
郡県少吏と術数――「日書」からみえてきたもの―― (工藤元男)
王莽「奏群神為五部兆」の構造――劉歆三統理論との類似について―― (平澤 歩)
六不治と四難――中国医学パラダイムの術数学的考察―― (武田時昌)
術数三論――朱子学は術数学か―― (川原秀城)
明清時代の風水文献に現れる「水質」論について (水口拓寿)
周縁文化より考える占卜の技術と文化 (近藤浩之)
終わりに (水口拓寿)
中国語要旨
執筆者紹介
内容説明
【始めにより】(抜粋)
「数術」(「術数」と言っても同じ)とは何であろうか。定義することも説明することも難しい言葉であるが、文献の上では、『漢書』藝文志が「天文・暦譜・五行・蓍亀・雑占・形法」の凡そ六種に分けて、百九十家二千五百二十八巻の書を著録したのが、最初のまとまった記述である。後に『隋書』経籍志は編成を若干変更しつつ一層多数の書を挙げ、さらにその後も多方面に発展し続けた、旧中国特有の重要な文化の一分野である。また、「術数」は天文・律暦・算術を始めとする実践的な科学・技術の源流であり、また星占・亀卜・相人などの占いを用いて吉凶を占う占筮・宗教の体系であり、さらに聖王が天人相関説を媒介にしてこれを徳治に生かす道徳・政治の教えとも繋がっていた。現代社会においても「術数」の中国人に対する影響力は、依然として小さくない。
近年、世界的な規模で中国の術数に対する関心が高まっている。今思いつくままに現代日本における中国術数の重要な研究に限って挙げても、牧尾良海氏の風水思想研究とデ・ホロートの風水研究の翻訳・紹介、坂出祥伸氏の気に注目した道家・道教の養生・医学と方術の研究、三浦國雄氏の風水・気を中心とした幅広い術数世界の思想的な研究、渡邊欣雄氏の社会人類学の方法による風水を含む民俗・宗教の研究などがある。
……本書は、我々九名が司会者・報告者として参加して開催したシンポジウム「中国古代における術数と思想」(東方学会国際東方学者会議、二〇一五年五月、於日本教育会館)で発表された報告を活字にしたものである。発表された六篇の報告に加えて、当日は司会者の役を勤めた武田時昌も論文を執筆し、合計七篇の論文を編集して一冊とした。その内容は、旧中国(殷周時代~明清時代)の伝統文化の一つである上述の術数の重要な論題七つを選んで、時代を以下のようにできる限り長く取り――殷周・秦漢(李零)、戦国・秦漢(工藤元男)、前漢末~後漢初(平澤歩)、三国~隋唐(武田時昌)、北宋・南宋(川原秀城)、明清(水口拓寿)――、それぞれの社会状況を背景に据えながら、各論題を時代思想との関わりにおいて検討した論文集である。
Computational Arts (術数 Shu-shu) and Intellectual Thought in Chinese Traditional Society