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黄帝医籍研究

黄帝医籍研究

古代から現代までの医学知見と人文諸科学の成果を統合し、素問・霊枢など黄帝医籍六文献の歴史を俯瞰する 待望の書なる!

著者 真柳 誠
ジャンル 中国思想・哲学
出版年月日 2014/11/26
ISBN 9784762965289
判型・ページ数 A5・640ページ
定価 6,600円(本体6,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

【内容目次】
序説 黄帝医籍
第一章 『素問』
第一節 序 論〔概要/成書/唐代までの伝承/版本系統〕
第二節 北宋版
〔①熙寧二年(一〇六九)新校正本/②元豊間(一〇七八~八五)孫氏校刊本/③宣和三年(一
一二一)校刊本〕
  第三節 南宋版
〔④紹興二五年(一一五五)刊本/⑤紹定(一二二八~三三)重刊本/⑥南宋未詳年坊刻本/⑦
南宋中後期坊刻本〕
  第四節 金 版〔⑧金末蒙古初刊本〕
第五節 元 版〔⑨前至元二〇年(一二八三)読書堂刊本/⑩後至元五年(一三三九)古林書堂刊本〕
第六節 明 版〔⑪嘉靖二九年(一五五〇)顧従徳仿宋刊本/⑫明・無名氏本〕
  第七節 総 括
第二章 『針経』と『霊枢』
第一節 序 論〔概要/成書と問題点〕
  第二節 宋代までの伝承
〔歴代の記録/『九巻』佚文と現『霊枢』/『黄帝針経』佚文と現『霊枢』/不全の『針経』
『霊枢』と完本『針経』『霊枢経』の出現〕
第三節 北宋・元祐本『針経』
〔高麗本『針経』の将来と王欽臣の上進/元祐本の旧態/北宋末・南宋初に引用された『針経』
『霊枢経』/金・蒙古代に引用された『針経』『霊枢経』/元祐本『針経』と現『霊枢』の関係〕
第四節 偽経の『霊枢経』九巻〔『針経』と『霊枢経』/『霊枢経』の実態/出現と湮滅〕
  第五節 南宋・紹興本『霊枢』
〔校刊経緯/書名の改変/巻数の変化と版式/総目の付加と銜名・篇目の削除/改変の意図と背
景/音釈の付加/校注の「一本」/元祐本への校正/来歴と特徴〕
第六節 現『霊枢』の諸本〔明・無名氏二四巻本系/元・古林書堂一二巻本系/和刻九巻本系〕
第七節 総 括
第三章 『難経』概説  
第一節 概 要  第二節 成 書  第三節 伝 承  第四節 版 本〔『難経集注』/『難経本義』〕
第四章 『甲乙経』  
第一節 概 要〔序文の記述/書名と巻数/内 容〕  第二節 成 書〔皇甫謐説の問題/編者と年代〕
  第三節 伝 承〔歴代の記録/唐政府の校定/北宋の医官育成と医書出版〕
  第四節 現存本〔明・医統正脈全書(医学六経)本/明・藍格抄本〕
  第五節 結 語
第五章 『太素』  
第一節 概 要
〔現状と構成・内容の特徴/『太素』経文と『素問』『(針経)九巻』の関係/『甲乙経』の影響〕
  第二節 成 書〔楊上善の著述/『太素』の撰注年代/楊上・善の墓誌/「上善」と『太素』の撰注背景/
李賢と『太素』の成書年〕
  第三節 伝 承〔唐宋代/日本への将来/阿倍仲麻呂と吉備真備の関与/医官育成と『太素』の消長/教
育の日本化と『太素』の伝承
 第四節 現存本〔仁和寺本/釈文と校刊本〕   
第五節 総 括
第六章 『明堂』
 第一節 概 要
〔孔穴数と命名/条文形式/孔穴記載順次、篇だて、篇配列、孔穴図示、五行穴/主治文記述形
式と意図/甲乙『明堂』の輯佚/総論の存否/「明堂」という書名〕
第二節 原『明堂』の成書と旧態
〔背 景/『明堂流注図』と『偃側図』/成書年代/敦煌本からの知見/原『明堂』の旧態/穴
名下の一穴・二穴/原明堂『流注図』の概要〕
第三節 原『明堂』の孔穴配列と経脈循行の概念
〔頭髪部六篇/背部三篇/顔面頸肩部四篇/胸部等五篇・腹部等五篇/上肢六篇・五九穴、下肢
六篇・七九穴/孔穴・経脈の認知と『明堂』〕
第四節 魏晋・六朝・隋代の伝承・変化および影響
〔改編本・増訂本と異本の出現/禁灸穴の増加/禁灸の背景/禁穴の論理化/『隋書』経籍志の
著録と医官育成〕
  第五節 唐代の『明堂』文献
〔楊玄操注『黄帝明堂経』『明堂音義』/甄権『明堂図』/李襲誉ら増修『明堂人形図』/『千金
 方』所収本/楊上善『黄帝内経明堂(類成)』/『外台秘要方』所収本/付説『医心方』所収本
第六節 総 括
   付 所出文献関連年表/後 記/書名・人名・事項索引 

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内容説明

真柳 誠『黄帝医籍研究』を推挙する           小曽戸 洋

待望の真柳氏の著書が出る。久々の読みごたえのある中国医籍研究書である。

 中国伝統医学(漢方)の根幹をなす典拠は『黄帝内経』『神農本草経』『傷寒・金匱』の三大古典である。

 今回の氏の著作はいうまでもなく『黄帝内経』に関するもので、ここにいう「黄帝医籍」とは、いずれも正式書名に黄帝の名を冠する『素問』『針経』『霊枢』『明堂』『難経』『甲乙経』『太素』のことである。

 およそ中国古典を研究するにあたっては、まずその書誌を明らかにする必要がある。研究の対象とする書物が、いかなる経緯で書かれ、どのような伝承のもとに今に至っているかが不明確では、その研究自体が成り立たない。氏の著作は長年の研究成果をまとめた労作で、書誌学を基本とし、新出の資料をふんだんに取り入れている。その上で独自の論を展開しており、従来の先達の水準をはるかに越えた歴史に残る名著といっても過言はない。

 本書が出版されたからには、今後『黄帝内経』さらに中国伝統医学の研究をめざす人は、この書に目を通す必要が生じたといえるであろう。本書を高く評価し、広く推薦するゆえんである。

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