目次
する論考34篇を收録。
内容説明
日本學士院會員・東京大學名譽教授であられた築島裕博士(2011年4月11日逝去、享年85)の諸論考(單行本に收録されたものを除く)を類別して八册に收め刊行する。築島博士は、國語史とくに訓點資料及びそれに記された言語的事象について研究され、斯界に巨大な足迹をのこされた。訓點研究の初期は、假名・ヲコト點の調査や音韻の研究など、從來の國語史研究の空白を埋めることに主眼が置かれた。
そのような補助的な學問であったのが、いまや「訓點研究の成果なくしては國語史を語ることは出來ない」と認識されるまでに至ったのは、築島博士に負うところ少なしとしない。築島博士の業績としては、訓點語と假名文學語を「文體の相違による平安時代中後期の二大位相語」として位置附けられたことが著名であるが、ヲコト點の歴史的變遷とその特徴、訓點の性格の推移や音韻の影響など、訓點本や訓點それ自體に關する研究を、その言語が記される社會的な背景を踏まえて、國語史研究の重要な領域に押し上げられたのは、ほかならぬ築島博士である。ここに築島博士の論文を集成し刊行する。その研究對象は多岐に亘るが、常に訓點資料及び訓點語の知見を念頭に置かれている。訓點資料を國語史研究に活用された、珠玉の論考の數々である。