内容説明
【あとがきより】
今回の共同研究は新たな課題への挑戦であった。 民国史研究の蓄積を踏まえ人民共和国成立前後の中国を考察しようとする視点は、 従来の中国現代史研究に於いて最も欠けていたものだったからである。 歴史学者が主に20世紀前半以前の中国に関心を向けてきたのに対し、 政治学者、 経済学者は専ら同時代の中国、 わけても1980年代以降の 「改革開放」 時期の現状分析に関心を集中させてきた。 その結果、 人民共和国の成立前後から 「改革開放」 時期を迎えるまで (1940~1970年代) を対象とする歴史研究が、 従来、 きわめて手薄になっていたのであり、 本書はそうした空白領域を少しでも埋めることを重要な課題にしていた。
【内容目次】
総 論 1949年革命の歴史的位置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・久保 亨
第1章 国民党による憲法施行体制の統治形態 ・・・・・・・・・・・・・金子 肇
第2章 一党独裁制から多党 「襯託しんたく」 制へ 陳 謙平 (小野寺史郎訳)第3章 共和国成立前後の民主建国会、 1945 1953年・・・・・・・水羽信男
第4章 共産党のブルジョアジー政策の変転・・・・・・・・・・楊 奎松 (大沢武彦訳)
第5章 国民政府資源委員会とその人民共和国への遺産 程 麟 (関智英訳)第6章 共和国成立期における株式会社の試み・・・・・・・・・・・・・・川井伸一 第7章 対外貿易における変動と連続性1940 1950年代・・・・・・久保 亨 第8章 共和国成立期の軍事戦略と軍需産業・・・・・・・・・・・・・・・・丸山鋼二 第9章 食料の徴発から見た1949年革命の位置・・・・・・・・・・・・・笹川裕史 第10章 広西派政権による総動員体制と農地改革1946 1949年 山本 真第11章 江蘇省教育会の 「復活」、 1947年・・・・・・・・・・・・・・・・・高田幸男 第12章 映像文化における転換と継続、 1950-1960年代初期 張 済順 (加島潤訳)
主要参考文献目録・あとがき・索引