目次
はじめに・對象範圍一覽 分類と分布
全國的總集
一般〔『詩源初集』他38種〕・故舊交友〔『天下名家詩觀』他18種〕・八旗〔『白山詩介』他2種〕・閨秀〔『擷芳集』他4種〕・館閣・試帖詩〔『詞科掌録』他4種〕
地方的總集
直隷〔『津門詩鈔』天津府天津縣他3種〕・奉天・吉林・黒龍江・安徽〔『宛雅三編』寧國府宣城縣他4種〕・江蘇〔『太倉十子詩選』蘇州府太倉州他19種〕・浙江〔『蘭言集』寧波府他19種〕・山西・山東〔『濤音集』萊州府掖縣他5種〕・河南〔『國朝中州詩鈔』〕・陝西〔『山南詩選』漢中・興安二府〕・甘肅・江西〔『西江風雅』他1種〕・湖北〔『湖北詩徴傳略』〕・湖南〔『沅湘耆舊集』〕・四川〔『蜀雅』〕・福建〔『莆風清籟集』興化府他1種〕・臺灣・廣東〔『嶺南三大家詩選』他6種〕・廣西・雲南〔『國朝滇南詩略』〕・貴州〔『播雅』遵義府〕・新疆・内蒙古・外蒙古・青海・西藏・察哈爾
中論 清詩總集にたいする禁燬措置について
あとがき・人名索引・書名索引
内容説明
【本書より】(抜粋)
清詩とは、清人が清代に作った詩をいう。清人とは、初めは一六四四順治元年以後に亡くなった人々、終わりは一九一一宣統三年にすでに成人に達していた人々とする。初めについていえば、例えば錢謙益は、その卒年が一六六四康煕三年であるから、明らかに清人である。その詩は、明代のものが『初學集』に、清代のものが『有學集』に收められるから、後者のみが清詩ということになる。しかし明末清初の詩家において、明詩と清詩がこのように截然と區分されるのはむしろ例外で、ほとんどの詩家にとって、このような區分はむずかしい。ただ原則として設定することは許されるだろう。清末民國初の詩家についても同様である。わざわざこのように斷わるのは、明末清初の詩家を、新政權に協力したか否かで明人と清人とに分けたり、作品の傾向によって明詩と清詩に分ける方法も存在するからである。詩の總集とは、詩の別集と對をなし、二家以上の詩家の作品を集めた書物である。その内容はもとより多岐にわたるが、まず、對象とする詩家の地理的範圍のもうけかたから見て、全國的規模のものと地方的規模のものとに分けることができよう。そのうち全國的總集は、網羅的なものと、家數限定のものとに分けることができる。地方的總集については、まず、行省によって多寡の差が明白である。特に江蘇・浙江に多いことは、この地方の文化的先進性を如實にものがたっている。『清史稿』巻百四十八・藝文志四・総集類、および武作成編『清史稿藝文志補編』集部・總集類(一九八二年・中華書局)から清詩總集を摘出すれば、三百五十種はくだらないとおもわれるが、そこに記載されているもの(詩文評類からの一種を含む)を主とし、記載されていないものをも加え、私が本敍録に項目立てをしたのは、和刻を除き、附録を含めて、全國的總集が八十種、地方的總集が七十七種の、あわせて百五十七種になる。このうちの、人名索引のためにカードをとった百三十種において、一首以上の詩をもって登載される詩家の絶對數は(つまり延べ人數ではなく)四萬四千三百二十家前後である。
本敍録は清代詩史の一環をなすといえよう。しかし編輯者のおおかたが、理念として總集の全國的と地方的とにおいて、それぞれが『詩經』の「雅」と「風」とを掲げる。そのため、ある時期の詩風を着實に反映することにつながらないこともあるようにおもえる。