目次
『癸卯旅行記』解説・凡例
癸卯旅行記目・題記・自序
巻 上
一 東京よりの出発
二 大阪での第五回内国勧業博覧会見学と京都遊覧
三 神戸より上海へ
四 上海より浙江省の?石鎮へ
五 上海より長崎、釜山、元山、城津経由でウラジオストクへ
巻 中
六 ウラジオストク
七 ウラジオストクからハルビンへ
八 ハルビン
九 黒竜江省西部から大興安嶺、呼倫貝爾を経て満州里へ
巻 下
十 満州里よりヤブロノヴィ山脈を越えてバイカル湖へ
十一 バイカル湖横断
十二 イルクーツクより中央シベリアの森林地帯へ
十三 西シベリア低地の穀倉地帯に入る
十四 チェリャビンスクよりズラトゥスト、サマラを経由してモスクワへ
十五 モスクワ見学を経てペテルブルグへ
訳者註・あとがき・図版典拠・人名索引
内容説明
【解説】より
『癸卯旅行記』とは、近代中国の先進的女性知識人銭単士釐が二〇世紀最初の癸卯の年(一九〇三年)に外交官の夫銭恂とともに行った国外旅行の記録である。…『癸卯旅行記』は「近代東北アジアの形成」に関する原暉之、左近幸村、中見立夫らの近年のあらたな研究の前進に資する記述をも有している。にもかかわらず、「ロシア極東を含む東北アジアをひとつの歴史的実体として」とらえようとする新しい視点から単士釐の旅行記を検討した研究はまだない。…本訳書の刊行が銭単士釐とその家族、親族についての実証的な研究と「近代東北アジアの形成」に関するあらたな研究をさらに大きく進展させる契機となれば幸甚である。