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汲古選書53 李公子の謎

―明の終末から現在まで―

汲古選書53 李公子の謎

明末の英雄・李岩とは一体何者?――諸説の整理と今後の展望

著者 佐藤 文俊
ジャンル 東洋史(アジア) > 明清
中国古典(文学) > 明清
シリーズ 汲古選書
出版年月日 2010/08/25
ISBN 9784762950537
判型・ページ数 4-6・248ページ
定価 3,300円(本体3,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

【本書より】

複雑化した李岩論争を、現在にいたるまでの経過を整理し、今後の研究に資する意図をもって叙述する。

著書の題名に李岩を冠せず、『李公子の謎』としたのは、李岩が実在の人物か否かに収斂されるものの、李公子の呼称が様々なニュアンスで伝承され、かつ様々なジャンルを経過したため、史実と創作の境界が不明となっていることによる。

【内容目次】

 一 明末の流賊と李公子伝承

 1.流賊の発生と展開 

2.政権(「仁義」の世界)の樹立と李公子伝承の発生(崇禎14年〈1641〉以降) 

二 崇禎末、清代初期の李公子像

  A 明朝倒壊時(崇禎17、順治元年、1644)の李公子原像 

1.李公子=李自成(『華夷変態』)

2.李公子=李岩(『新編勦闖通俗小説』)

3.李公子=李栩(順治『潁州志』) 

4.三人の李公子像の異同  

  B 清代初期の李公子=李岩像の展開 

1.『定鼎奇聞』と『樵史通俗演義』 

2.呉偉業『綏寇紀略』 

 三 清代中期、李公子=李岩説の公認と反発

  A 『明史』流賊伝の成立 

    1.『明史』について 

    2.毛奇齢『後鑑録』と『明史』流賊伝 

    3.整理された李公子=李岩像 

B 禁書体制と李公子=李岩像の拡大 

1.四庫全書と禁書・文字の獄  

2.禁書と明末清初の野史

3.禁書体制と李岩伝承の拡大  

4.紅娘子伝承(物語)の展開 

C 李公子=李岩説への反発  

1.河南開封府杞県  

2.南直隷鳳陽府

四 清末・民国期の李公子像

1.乾隆禁書体制の弛緩と禁書の復刻 

2.明末を題材にした小説の盛行

3.郭沫若『甲申三百年祭』(1944)とその波紋 

五 中華人民共和国における李岩論争

 1978年までの李岩論―実在の人、李岩をどのように評価するか 

   B 1978年以降の李岩論争―李岩は烏有先生か、実在の人か 

     1.顧誠、欒星の主張と趙国光、陳生璽の反論 

   2.歴史小説家・歴史研究者としての姚雪垠

 3.河南省を中心とした李岩論争 

 参照文献・史料

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