目次
fe(´)l szem(片目)考/フィン・ウゴル語の語頭のS音について
フィン・ウゴル諸語の母音調和/ハンガリー語
ウラル語族
一般音韻論ラズィツィウス・ジュラ(著)
ラズィツィウス・ジュラ──人と業績/レグイとその業績
ハンガリーの言語学/ハンガリイに於ける言語学・民俗学研究の近況
ハンガリーにおける近年のフン研究について/ハンガリーのアジア研究
ハンガリー語の古文献/ハンガリー語の辞書/ハンガリイ民族の起源
ハンガリーの言語地図/ムンカーチとウドムルト語研究
〔随想──書物と人々〕
シロコゴロフのトゥングース語辞典/日本へ来たハンガリー人── 幕末から明治まで
ロッツ・コレクションについて/シベリアの旅行記
戦前のブダペスト大学/ブダペスト大学/ハンガリー科学アカデミー図書館
シベリア研究の資料/ハンガリー語の古文献
フィン・ウゴル学会に出席して/第三回国際ハンガリー言語学会
初出一覧・あとがき
内容説明
【本書】より 徳永康元先生は2003年4月に急逝されたが、先生はご自身の言語学関連の論考などをまとめておきたいというご希望を1980年代からお持ちで、故千野栄一氏が先生とご相談の上で信頼できる底本や未刊の原稿類を準備し、 2000年までには版元を含め、下準備が整いつつあったと聞いている。 先生は珠玉の小品を多数書かれていて、それらは比較的早く『ブダペストの古本屋』(1982年 恒文社)、『ブダペスト回想』(1989年 恒文社)、『ブダペスト日記』(2004年 新宿書房)として上梓された。また、文学と音楽にも強い関心を寄せ、文学に関しては多くの翻訳がある。中でも、『リリオム』(1951年 岩波書店)と『ラチとらいおん』(1965年 福音館書店)は今も版を重ねている。他方、言語学の論文などは、千野氏の逝去(2002年) もあり、単著としてまとめられたことはなかった。先生の論考は実証性が極めて高く、また、民族学的知見にも裏付けられた傑作であり、1冊の書物にすることによってその散逸を避け、フィン・ウゴル学に志す人たちの利用に供することは大変意義が深いと考える。(石井米雄・佐藤純一・長野泰彦)