目次
増訂本前言
韓国語版序(黄徳寛)
序(姚孝遂)
引言
第一編 文字学の創立期 【周秦―両漢】
第一章 文字学の萌芽
一 周秦の漢字分析と『周礼』の「六書」
二 蒼頡作書――漢字起源の伝説と推測
三 漢字の初期整理――書同文
四 文字書の原型――『蒼頡篇』及びその他
第二章 文字学の創立
一 文字学創立の歴史的文化的背景
二 漢代文字学の概況
三 許慎と『説文解字』
第二編 文字学の停滞期 【魏晉―元明】
第一章 『説文』から字書の編纂へ(上)
一 魏晉南北朝期の『説文』系字書
二 宋明期の『説文』系字書
三 『説文』系字書の殿軍――『康煕字典』
第二章 『説文』から字書の編纂へ(下)
一 文字弁正の字書
二 古文字書
三 俗文雑字字書
第三章 『説文』の継承と発展
一 李陽冰と『説文』
二 二徐による『説文』の校訂と研究
三 『字説』と「右文説」
四 鄭樵らの「六書」研究
五 宋代の金石学
第三編 文字学の振興期 【清代】
第一章 清代の『説文』学
一 清代『説文』研究の概況
二 清代『説文』学の四大家
三 「六書」理論の進展
四 「字原」の探究
五 文字学史上における清代『説文』学の地位
第二章 金石学の復興と古文字学の分立
一 金石学と古文字学の関係
二 清代金石学の発展概況
三 呉大澂、孫詒譲諸家の古文字学に対する貢献
四 古文字学の成立とその意義
第四編 文字学の拡大発展期 【近代以後】
第一章 科学的な古文字学の建立
一 科学的な古文字学発展の三段階
二 羅振玉、王国維による創始の功
三 唐蘭、于省吾による科学的な古文字学の基礎の確立
第二章 甲骨文研究
一 甲骨文の発見と著録
二 甲骨文研究の概況
三 文字学史上における甲骨文研究の重要な地位
第三章 金文研究
一 金文の整理と研究概況
二 文字考釈の成果
三 その他の研究成果
四 金文研究の趨勢
第四章 戦国文字研究
一 戦国文字研究略説
二 戦国文字の発見と整理
三 戦国文字研究の主要な成果
第五章 秦系文字研究
一 秦系文字資料の発見と著録
二 秦系文字研究の概況
第六章 理論の探究と体系の構築
一 伝統小学の終焉――章黄の学
二 理論体系の構築
三 文字学理論の主要な進展
第七章 清末以来の漢字改革運動
一 清末の拼音文字運動とその発展
二 1950年代以降の文字改革運動
第八章 世紀の交における文字学研究
一 現代漢字と漢字の応用研究
二 漢字の理論研究
三 『説文』学と伝統文字学の研究
四 古文字研究
五 俗字研究
六 基本的な評価と展望
漢語文字学主要参考書目
初版後記
増訂本後記(黄徳寛)
翻訳後記(遠藤隆俊)
参考文献(日本語)
執筆者紹介
索 引
(中国国家社会科学基金助成図書)
内容説明
【翻訳後記 より】(抜粋)
本書は、黄徳寛・陳秉新『漢語文字学史』(安徽教育出版社)の日本語訳である。著者によれば、漢語文字学とりわけ古文字学の理論と研究は主に文字の形・音・義、すなわち漢字の字形、字音、字義の究明にあるという。本書はこのうち主として字形すなわち漢字の「形体」に関わる歴代の研究及び字書の編纂について通論するとともに、近代における漢語文字学の形成と中国の文字政策を分析、紹介する。文字通り、漢語文字学の通史である。内容構成は全四編に分かれ、第一編は『説文解字』の成立及びそれに至る字書の編纂や各代の学術状況を詳細に分析し、第二編では『説文』以後『康煕字典』に至る字書の編纂及び『説文』の校訂、さらには唐宋以後の右文説、「六書」研究、金石学の興隆などを論述する。次いで第三編では清代の「説文」学や「字原」研究、そして金石学の復興と古文字学の成立を論じ、第四編では近代以後の新しい言語文字学理論と甲骨文、金文、戦国文字、秦系文字などの研究成果を紹介し、併せて清末以来の文字改革運動の歴史を詳しく分析する。各代の字書や著作に対する評価は『四庫全書総目』をはじめとする清人、近人の論評を基本としつつ、独自の見解を加えている。まさに漢語文字学の通史であり、また文字学を中心とした中国学術史の総括でもある。