目次
一、菅原道真について
ア、菅原道真の時代
イ、菅原道真の生涯①(大宰府左遷以前)
ウ、菅原道真の生涯②(大宰府左遷及びその後)
エ、菅原道真の宇多天皇に対する思い
オ、菅原道真の憂憤―役人の不正を糾弾―
二、『菅家文草』『菅家後集』について
三、菅原道真の詩の特徴
―『菅家後集』を読解するにあたって―
ア、菅原道真の詩に強く影響を与えた『白氏文集』
イ、応製詩と詩に対する考え方
四、『菅家後集』の詩を読解することの難しさ
ア、菅原道真の漢詩を読解するにあたって
イ、四七八「不レ出レ門〈七言〉」
ウ、四八二「九月十日」
エ、五一四「謫居の春雪」
菅家後集 注解
凡例
〈前田育徳会尊経閣文庫所蔵丁本(菅家後集貞享刊本首部)〉
※四六九 見三右丞相献二家集一 〔御製〕
…(中略)…
四七四 感二吏部王弾一 レ琴、応レ製〈一絶〉
四七五 冬日感二庭前紅葉一、示二秀才淳茂一
(昌泰四年)
※四七六 〔明石駅亭口詩〕
〈以下、前田家尊経閣文庫所蔵甲本〉
四七六 〈五言〉自詠
四七七 詠二楽天北窓三友詩一〈七言〉
…(中略)…
四九二 元年立春〈十二月十九日〉
四九三 南館夜聞二都府礼仏懺悔一
(延喜二年)
四九四 歳日感懐
四九五 梅花
…(中略)…
五一四 謫居春雪
奥書
後人擬作
一 御詫宣詩
二 示二勅使被一 レ返二左大臣宣命一
三 被レ贈二大政大臣一之後、詫宣
〈以下、菅家後集貞享刊本尾部。尊経閣本後集丁本尾部亦同〉
奏状
六七四 献二家集一状
六七五 重請レ罷二右近衛大将一状
おわりに
内容説明
【内容目次】
はじめに
解 説
一、菅原道真について
ア、菅原道真の時代
イ、菅原道真の生涯①(大宰府左遷以前)
ウ、菅原道真の生涯②(大宰府左遷及びその後)
エ、菅原道真の宇多天皇に対する思い
オ、菅原道真の憂憤―役人の不正を糾弾―
二、『菅家文草』『菅家後集』について
三、菅原道真の詩の特徴―『菅家後集』を読解するにあたって―
ア、菅原道真の詩に強く影響を与えた『白氏文集』
イ、応製詩と詩に対する考え方
四、『菅家後集』の詩を読解することの難しさ
ア、菅原道真の漢詩を読解するにあたって
イ、四七八「不レ出レ門〈七言〉」
ウ、四八二「九月十日」
エ、五一四「謫居の春雪」
菅家後集 注解
凡例
〈前田育徳会尊経閣文庫所蔵丁本(菅家後集貞享刊本首部)〉
※四六九 見三右丞相献二家集一 〔御製〕
…(中略)…
四七四 感二吏部王弾一レ琴、応レ製〈一絶〉
四七五 冬日感二庭前紅葉一、示二秀才淳茂一
(昌泰四年)
※四七六 〔明石駅亭口詩〕
〈以下、前田家尊経閣文庫所蔵甲本〉
四七六 〈五言〉自詠
四七七 詠二楽天北窓三友詩一〈七言〉
…(中略)…
四九二 元年立春〈十二月十九日〉
四九三 南館夜聞二都府礼仏懺悔一
(延喜二年)
四九四 歳日感懐
四九五 梅花
…(中略)…
五一四 謫居春雪
奥書
後人擬作
一 御詫宣詩
二 示二勅使被一レ返二左大臣宣命一
三 被レ贈二大政大臣一之後、詫宣
〈以下、菅家後集貞享刊本尾部。尊経閣本後集丁本尾部亦同〉
奏状
六七四 献二家集一状
六七五 重請レ罷二右近衛大将一状
おわりに
菅原道真の『菅家後集』一巻は、『菅家文草』(十二巻、昌泰三年〈900〉成立)以降、主として大宰府左遷以後の作品四十六首を収めた詩集で、道真自らが編纂し、死に臨んで京にいる詩友の紀長谷雄に送ったとされ、「西府新詩」とも呼ばれる。本書は、この『菅家後集』の研究と注釈を新たに行ったものである。道真が一首一首に全身全霊を込めて詠んだ作品を丁寧に読み解いて注を付けて解釈し、『源氏物語』等の後の時代への作品の影響についても目を配り言及した。このことにより、道真詩の特色はもとより、大宰府左遷の流謫の身でありながら人間味溢れる道真の姿や『菅家後集』の作品世界の奥深さを明らかにした。
【本書の特色】
◎新たな校訂本文の制定
「現存最高の善本」とされる前田育徳会尊経閣文庫蔵「前田家甲本」を底本とし、「前田家乙本」「前田家丙本」「前田家丁本」ほか十数本の伝本を参照しつつ、校訂を加えて新たに本文を定め、『菅家後集』の注釈を行った。作品には便宜上、日本古典文学大系本の通し番号を漢数字で付し、各句には算用数字で句の通し番号を付した。四七六「自詠」詩以前の増補部分の作品については、尊経閣文庫蔵「前田家丁本」を底本とし、その他7本を参照しつつ、校訂を加えたものを本文とした。
◎これまでの解釈の諸説についての検討と、新しい解釈の提示
「解説」の「四、『菅家後集』の詩を読解することの難しさ」で、三作品(四七八「不レ出レ門〈七〉」・四八二「九月十日」・五一四「謫居春雪」)を取り上げて、いかに『菅家後集』の詩を読解することが難しいのかを説明し、新しい解釈を提示した。具体的には、従来の解釈や解説の実例をあげて検討し、これまでの解釈との異同及び論点の違いを明らかにした上で、私見による新しい解釈を示した。このように、すべての詩を一首一首丁寧に読み解くことで新しい解釈を提示した。
◎各作品に本文、【訓読】、【語釈】、【大意】、【詩形と平仄】、【補説】を施し、丁寧な注解に努めた。
◎本文は、底本に見える異体字の類は原則として本字ないし通行の字体に改めた。また、底本の本文を改めたときは、【語釈】の中でその旨、言及した。
◎【訓読】及び【語釈】の訓読文は、当時の訓法をできるだけ復原することに努めたが、一般の人にも広く読めることを企図しているため、現在通行している訓読に従ったところもある。また、訓読文の総ルビや一字あき、【語釈】の用例の訓読・ルビ等、なるべく読みやすく、また理解が容易になるような注釈を心がけた。
◎【語釈】には、『白氏文集』の用例を多く引き、白居易の詩文の影響の跡を細かく、また正確に見ること、さらに道真以後の平安時代の漢詩文の用例をも引き、道真の詩の影響の跡が分かるように努めた。
◎これまであまり注目されてこなかった【詩形と平仄】については、これが漢詩創作の基本であることを踏まえ、道真が使用した平仄を正確に示すことで、道真の作品が規則に忠実であるかを確認した。また、特徴的な平仄を使ったり、規則からはずれた平仄の使用法が見られる場合は、その理由を考察した。
◎作品の鑑賞、及び作品の背景、後世への影響等については【補説】に記した。その際、その漢詩についてのできるだけ多くの関連文献をあげるように努め、その作品の影響の跡が分かるようにした。例えば、四七八「不レ出レ門〈七言〉」では、『白氏文集』の関連する三作品を訓読文と共にあげ、さらに『和漢朗詠集』『大鏡』『江談抄』『筑紫道記』『遠思楼詩鈔』『史館茗話』等の関係文献を本文と共にあげた。また、「劉禹錫と白居易の唱和詩」の項目も設けて、道真の作品との関連について考察した。さらにまた、別の作品では、先人の優れた論文等も紹介したり、「詩の構成」では、平安中期の句題詩に見られるような漢詩の詠み方がすでに道真に見られることなど、新しい視点から、道真の詩を読み解いた。