目次
第Ⅰ部 「C・C」系
第一章 「C・C」系の創始者陳立夫氏へのインタビュー
―三民主義青年団、「C・C」の呼称、及び日本人への提言―
(一) 三民主義青年団に関して
(二) 「中統」と「軍統」の関係などについて
(三) 「C・C」の呼称について
(四) 「反共抗日」について
(五) 日本について
第二章 「C・C系巨頭」陳立夫・陳果夫の経歴・思想・活動
一 陳立夫の教育思想と教育政策―政治と教育の結合―
(一) 陳立夫の経歴
(二) 陳立夫「生の原理」の内容と特質―「C・C」系の思想基盤形成―
(三) 陳立夫の抗日戦争への対応―「中統局」の成立―
二 陳果夫と社会経済政策―民生主義・合作社との関連を重視して―
(一) 陳果夫の経歴と叔父陳其美
(二) 合作社事業推進における陳果夫の役割
(三) 陳果夫と民生主義
(四) 陳果夫と作詞
第三章 都市型特務「C・C」系の組織と「反共抗日」路線について
―その生成から西安事変まで―
一 「C・C」系の生成と特質
二 「C・C」系の特務機構とその活動
三 「ファッショ団体」幹社の設立と中国文化建設協会
四 「C・C」系による中国共産党などへの弾圧と顧順章事件
五 「C・C」系と青年運動・中国共産党・西安事変
第四章 「C・C」系と抗日戦争
一 中央調査統計局の成立と抗日戦争
二 中国共産党・第三勢力に対する弾圧の再開
三 「C・C」系と日本・「傀儡政権」との関係
四 「C・C」系と秘密結社
五 日本軍政下の香港における「C・C」系の抗日闘争
第五章 「C・C」系と東アジアの反戦運動・抗日闘争、そして南洋
―日本人、朝鮮人、台湾人による反侵略の闘い―
一 「C・C」系と日本人兵士の反戦運動
二 「C・C」系と朝鮮・韓国独立運動
三 「C・C」系と台湾の抗日民族運動
四 「C・C」系の南洋での抗日活動
第Ⅱ部 「藍衣社」
第六章 「藍衣社」指導者の戴笠について―その経歴と情報活動―
第七章 農村型特務「藍衣社」の組織機構と「抗日反共」活動
―その生成から西安事変まで―
一 「藍衣社」の呼称について
二 「藍衣社」の起源と黄埔軍官学校
―第一次国共合作下での左右両派の武闘―
三 満洲事変と「藍衣社」
四 「藍衣社」の組織機構とその活動
五 「藍衣社」の勢力圏
六 「藍衣社」の「中共剿滅」・日本対策・対米ソ認識
七 「藍衣社」の抗日活動と第三勢力弾圧
八 西安事変―戴笠と張学良、楊虎城との関係―
第八章 「藍衣社」と抗日戦争
一 「藍衣社」の諜報・抗日テロ
二 日本と南洋における「藍衣社」の特務活動
三 戴笠・「藍衣社」とその他の重要工作
四 戴笠と「裏社会」杜月笙
五 秘密情報機構「中米特種技術合作所」の成立
六 「藍衣社」と中国共産党、及び国民党内派閥との抗争
七 傀儡政権・日本軍との戦い
八 南京汪精衛政権の首脳・周仏海の対日認識の変遷
―戴笠・「藍衣社」との関係―
第Ⅲ部 三民主義青年団
第九章 三民主義青年団の創設とその活動―「抗日反共」青年運動の軌跡―
一 三民主義青年団の創設とその背景
二 三民主義青年団の陣容と武漢抗戦
三 三民主義青年団の改組と反共化
四 三民主義青年団の役割と第一次全国代表大会
五 三民主義青年団と華僑・少数民族
六 従軍、青年幹部班、青年幹部学校
結 論
索 引
後 記
内容説明
【序論より】
私はこれまで主に一九三七年から四五年までの抗日戦争時期(以下、抗戦期)における第三勢力(民主派)指導の中国工業合作運動、あるいは日本人兵士の反戦運動の研究を手がけてきた。(中略)したがって、研究をさらに深化させるためには、弾圧・妨害側であるC・C系、藍衣社の論理と実態を究明する必要に迫られた。中共のみならず、第三勢力の本格的な解明のためにも弾圧側の論理、実態を明らかにする必要があろう。(中略)このように、中国特務史研究は国民党派閥史の中で重要な位置を占める。のみならず、中国政治史、国際関係史、中国社会史、日中戦争史、世界華僑史、孫文や蒋介石との関係、及びファシズムの中国導入等々に跨るテーマであり、それらを考察する際、看過できない重要テーマである。本書では、こうした中国特務を歴史の舞台に本格的に登場させ、この複雑で難解なテーマにチャレンジする。すなわち、①日中戦争史研究、国民政府・国民党史研究の一環であり、また、②中共・第三勢力に対して裏面史からアプローチし直すことで、当時の政治力学を明らかにできる。さらに③日本・傀儡による占領支配への揺さぶり、打撃から中国の抗戦力評価にも連動する。換言すれば、中共や第三勢力、農民、労働者、学生各抗日運動・抗日的要素とどのように有機的にからまり、日本の侵略に抵抗したのか。いかなる効力を発揮したのか。すなわち、活動面では、中国共産党、第三勢力に対する弾圧側面が強調されてきたが、本書では、むしろ対日抗戦力の側面を重視する。