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汲古叢書172 前漢時代における高祖系列侯

汲古叢書172 前漢時代における高祖系列侯

◎高祖の権威や高祖と列侯の関係が前漢の政治にいかなる意義を有したのか

著者 邉見 統
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2022/03/24
ISBN 9784762960710
判型・ページ数 A5・472ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序章 問題の所在
 第一節 先行研究と本書の課題   
 第二節 本書の構成

第一章 高祖期の列侯封建
 第一節 問題の所在        
 第二節 『史記』・『漢書』列侯表の整理
 第三節 封建の過程
    (一)第一次論功行賞(高祖九年九月以前)
    (二)第二次論功行賞(高祖一一年一二月以降)
 第四節 列侯国の分布
    (一)漢郡への封建           
    (二)諸侯王国への封建
 第五節 小結

第二章 恵帝期・高后期の列侯封建
 第一節 問題の所在
 第二節 恵帝期の列侯封建
    (一)高祖一二年六月の封建       
    (二)対諸侯王国政策としての列侯封建
 第三節 高后期の列侯封建
    (一)呂氏集団所属列侯の整理      
    (二)高后元年四月の封建
    (三)高后四年四月の封建        
    (四)高后八年の封建
 第四節 小結

第三章 列侯と関内侯
 第一節 問題の所在
 第二節 関内侯の食邑
    (一)先行研究              
    (二)「二年律令」中の規定に基づく検討
    (三)『漢書』高帝紀所載高祖五年五月詔  
    (四)関内侯への食邑賜与の事例
    (五)列侯・関内侯の食邑の規模      
    (六)関内侯への食邑賜与の政治的意義
 第三節 列侯と関内侯
    (一)列侯の朝位と政治的発言力      
    (二)「二年律令」具律八五簡
 第四節 小結

第四章 高祖系列侯位次の制定と改定
 第一節 問題の所在
 第二節 高祖系列侯位次の対象者と制定の時期
    (一)高祖系列侯位次の対象者       
    (二)高祖系列侯位次の制定時期
 第三節 高祖系列侯位次の政治的意義
    (一)十八侯之位次の制定         
    (二)高祖系列侯位次の制定
    (三)高祖系列侯位次の改定
 第四節 小結

第五章 封爵之誓と高祖系列侯位次
 第一節 問題の所在
 第二節 列侯剖符・封爵之誓の史料と先行研究 
    (一)史料   
    (二)先行研究
 第三節 列侯剖符と封爵之誓     
    (一)列侯剖符の対象者 
    (二)列侯剖符の性格
 第四節 封爵之誓と高祖系列侯位次
    (一)高祖系列侯の減少過程    
    (二)高祖系列侯の紹封・復封
    (三)封爵之誓と高祖系列侯位次
 第五節 小結

第六章 高祖系列侯の衰退
 第一節 問題の所在
 第二節 周亜夫の失脚と高祖系列侯の紹封・復封
    (一)景帝と周亜夫の政争     
    (二)景帝中元年から景帝後元年の高祖系列侯の紹封・復封
 第三節 将軍職任用より見る高祖系列侯の衰退
 第四節 高祖系列侯の衰退による政策の変化
    (一)丞相任用の変化       
    (二)対匈奴政策の転換
 第五節 小結

第七章 高祖系列侯と「復家」措置
 第一節 問題の所在
 第二節 高祖系列侯と「復家」措置
    (一)「復家」措置の内容     
    (二)「復家」措置の対象者   
    (三)「復家」措置の時期
 第三節 「復家」措置の政治的意義
    (一)「復家」措置の政治的背景  
    (二)「復家」措置の政治的意義
    (三)元帝期以降の高祖系列侯
 第四節 小結

終章 結語

付録
参考文献目録
あとがき
索引

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内容説明

【序言より】

 漢初には多くの高祖功臣が最高の爵位である列侯に封建された。さらに列侯は都長安にある限り、任官しておらずとも定期的に皇帝に朝見する権利を有した。つまり、漢初においては列侯が高祖功臣の中心として政治的影響力を行使したと解される。ゆえに本書では、漢初における皇帝権力と列侯の関係、そしてその関係における高祖の権威の意義を中心に考察する。その際、高祖と列侯の交わした封爵之誓と、封爵之誓を受け継いだものとされる列侯の位次を重視する。列侯の位次は高后二年に制定されたとされる列侯の序列である。この列侯の位次が第四章に見るように高祖と対象とされた列侯の関係を重視したものであることから、これを「高祖系列侯位次」と称し、その対象者を「高祖系列侯」と称する。
 本書に述べるように高祖系列侯が高祖との関係に依拠して、高祖の権威のもとに大きな政治的影響力を有したと考えられる。一方で第五章や第六章に見るように、皇帝権力は高祖の権威に裏打ちされた高祖と高祖系列侯の関係性を克服しようとしていた。さらに第七章で見るように、高祖功臣が勢力を喪失した前漢後期にも、皇帝の正統性確立のために高祖系列侯が利用された。このような高祖系列侯という分析概念を設けることにより、高祖と強いつながりを有した列侯の政治的位置づけを考察する。それによって、前漢政治史における高祖と高祖功臣の関係、さらに高祖の権威の影響を明らかにする。

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