目次
Ⅰ 『類篇』研究
第一章 『類篇』は何のために編まれたか
第二章 『類篇』増補についての一考察
第三章 『類篇』はどの『集韻』を用いたのか
第四章 『類篇』反切相違の一要因について
第五章 『類篇』における例外反切について(部首篇)
第六章 『類篇』の脱落字について
第七章 『類篇』反切誤記札記
第八章 『類篇』の無義注について
第九章 『集韻』の脱落字について
Ⅱ 小学書の周辺
第十章 『集韻』での『説文解字』の影
第十一章 李善注に見える典拠不明の訓詁は何から採られたか
第十二章 多音字“重”及其聲調三分問題
第十三章 白居易怎樣用多音字“重”押韻?
第十四章 關於元代韻書 兼論高麗朝和朝鮮朝的影響
初出一覧
あとがき
索引
内容説明
【「序章」より】(抜粋)
『類篇』、全四十五巻。北宋治平四年(一〇六七年)成書。(中略)まず、大事な点は、『類篇』は部首立ての字書であるということである。北宋までの時代において、部首立てには、二系統ある。一つが『説文』の系統である。もう一つが、『玉篇』の系統である。『類篇』という名前から想像するに、『玉篇』系の部首立てを予想するが、実際は『説文』系である。こうした経緯は、『類篇』が『集韻』や『礼部韻略』とセットになっていたからであろう。(中略)
そこで、『類篇』の研究を始めるに当たって、『類篇』単体を研究するよりも、周辺の重要著作をより所として、研究を進めることにした。著述規模がほぼ同じである『集韻』をまず比較として利用することにした。理由は、セットグループであるからである。この予測はかなり妥当であることがわかった。
本書第一章から(第五章を除く)第九章まで『集韻』は有力な依拠文献であった。この手法によって、『類篇』理解がより容易になったと思われる。(中略)
なお、本書の構成上、Ⅰとして「『類篇』研究」とし、Ⅱとして「小学書の周辺」として、関連論文を付けた。これらも間接的に字書史にかかわるものだからである。なお、そのうち三本は、中文の論文であるが、どのような内容か、簡便に知るために、「日文提要」を付けた。あわせて見ていただければ、参考に資するであろう。