目次
第一部 唐代良賤制と百姓及び私賤人身分
Ⅰ 唐の良賤制
第一章 唐における良賤制と在地の身分的諸関係
一 はじめに
二 隋唐の「国家的身分制度」――良賤制
(1)成立過程
(2)唐の良賤制
三 在地における身分的諸関係
(1)奴婢的奴隷制
(2)新たな奴隷制と雇傭人・(佃人)
四 おわりに
第二章 唐の良賤制をめぐる二、三の問題
一 はじめに
二 良賤制を中心にみた従来の諸研究
三 隋唐良賤制の性格――それ以前との対比において
四 おわりに
第三章 唐代良賤制における良と賤とを分かつ「基準」をめぐって
一 礼的秩序と良賤制とが一致するとされる西嶋説について
二 良民の資格を規定した条文は存在しないのだろうか
三 「良民一般」概念と「一般良民」概念
Ⅱ 唐代良賤制下の百姓及び私賤人身分
第一章 唐の「百姓」身分について
一 はじめに
二 良賤制と「百姓」身分
三 政策支配と「百姓」身分
(1)「百姓」といわゆる均田農民概念
(2)「百姓」と客戸の制度化
四 おわりに
第二章 唐の「百姓」 身分・補論
一 はじめに
二 前稿に対する批判をめぐって
三 「百姓」の特殊化および多義化の傾向
四 おわりに
第三章 唐代「百姓」身分に関する諸問題
一 はじめに
二 「良人百姓」「百姓良口」なる語について
三 「長流百姓」について
四 陳子昂の文に見える百姓
五 「常住百姓」と「郷司百姓」
六 おわりに
第四章 唐の部曲客女身分に関する一考察
――ペリオ漢文文書三六〇八号の理解にむけて
一 はじめに
二 良賤制における部曲客女の占める位置
(1)部曲客女身分の成立とその補填のなされかた
(2)部曲客女のもつ「抽象的」側面
三 敦煌発見則天時代の律断簡について
四 おわりに
第五章 唐の部曲の性格をめぐる議論と問題点
一 はじめに
二 宮崎氏の中国中世に関する議論の枠組み
三 部曲=農奴説としての宮崎氏の部曲像の検討
四 おわりに
第六章 唐代の奴婢売買と市券
一 はじめに
二 唐の奴婢売買文書をめぐる従来の状況
三 近年発見の二通の唐代奴婢売買文書
四 市券に関する若干の問題
第七章 唐代の雇傭人問題に関する一、二の点について
一 日本における唐代雇傭人研究
二 唐法上における雇傭人の位置づけ
三 雇傭関係の展開と奴隷制
第二部 唐前半期における「百姓」の存在条件
第一章 唐前半期における鄰保とその機能――いわゆる攤逃の弊を手がかりとして
一 はじめに
二 唐の地方行政組織規定における鄰保
三 唐の鄰保とその機能
(1)いわゆる「鄰保代済の法」に関して
(2)鄰保の結合のあり方と徴税機能
(3)鄰保の徴税機能――性格と変遷
四 おわりに
第二章 唐代均田制下の百姓田売買について
一 はじめに
二 唐の均田制と百姓田売買
(1)従来の諸説について
(2)百姓田売買と唐戸婚律・売口分田条
(3)百姓田売買に関わる唐田令について
三 百姓の移動と百姓田売買
四 おわりに
第三章 唐代前半期の括戸政策といわゆる楽遷規定
一 はじめに
二 いわゆる楽遷規定と李嶠の括戸政策
三 「殷富者令還、貧弱者令住」の原則と宇文融の括戸政策
四 おわりに
第四章 唐食実封制に於ける所謂“七丁封戸”の問題について
一 はじめに
二 所謂“七丁封戸”に関わる資料と諸見解
三 所謂“七丁封戸”に関わる資料の分析
四 おわりに
第五章 唐朝前半期における食実封制について
一 はじめに
二 唐朝前半期における食実封制の展開と封戸の身分
(1)高宗朝中・晩期以前の食実封制
(2)極盛期の食実封制と封戸の身分
三 封戸及びその母体たる「百姓」について
四 おわりに
あとがき
索引
内容説明
【あとがきより】(抜粋)
本書は、著者が主として唐身分制社会の「均田農民」すなわち「百姓」身分の存在形態如何を、その関連するところをも含めるかたちで、いささかなりとも明らかにしたいと思い立ったことに端を発し、一九七七年より以来約三〇年にわたって取り組んできた著者なりの考察のささやかな成果を取り集めたものにすぎない。それが客観的に如何なる評価に値するものであるかは、文字通り読者諸賢の判断に委ねざるを得ない。
A Study of the Estates Control by the T’ang Dynasty and the Status of Po-hsing