目次
はしがき
凡例
〔序 論〕
序章 白居易「新樂府五十首」の修辭技法――文の實驗場――
〔一〕序
〔二〕新樂府の大序と小序
〔三〕新樂府の修辭と言語
〔四〕結 語
〔本論Ⅰ〕詩語の諸相
第一章 白居易「新豐折臂翁」詩について――老人の描寫が意味するもの――
〔一〕序
〔二〕新樂府に詠われる身體
〔三〕戰争と身體
〔四〕折臂が意味するもの
〔五〕得失一體の詩想
〔六〕結 語
第二章 白居易「日已高」考――一日の時間表現を中心にして――
〔一〕序
〔二〕一日の時間表現と三つの視點
〔三」日已高の諸相
〔四」結 語
第三章 詩語「顔色」の形成と展開――白居易詩における俗語用法に關連させて――
〔一〕序
〔二〕顔色の語義
〔三〕漢魏六朝詩における顔色の用法
〔四〕唐詩における顔色の用法
〔五〕結 語
第四章 白居易「就中腸斷是秋天」試論――天を伴う四季表現を中心にして――
〔一〕序
〔二〕白居易の「暮立」詩と問題の所在
〔三〕白居易における用例
〔四〕唐代詩人における用例
〔五〕結 語
第五章 白居易詩にみられる「誰家」をめぐって――特にその俗語用法に關する考察――
〔一〕序
〔二〕誰家の語義
〔三〕漢魏六朝詩における誰家の用法
〔四〕唐詩における誰家の用法
〔五〕結 語
第六章 白居易詠花詩論考――「別花」の詩人――
〔一〕序
〔二〕詠花詩の系譜
〔三〕白居易詠花詩の評價
〔四〕白居易前半生における詠花詩
〔五〕白居易後半生における詠花詩
〔六〕題材と詩型
〔七〕結 語
第七章 白居易「病中哭金鑾子」詩考――發想と措辭の観點から――
〔一〕序
〔二〕白居易詩に現れる子供
〔三〕詠金鑾詩と問題の所在
〔四〕「扶」の用法について
〔五〕詩律と詩語
〔六〕結 語
第八章 白居易「念金鑾子二首」が意味するもの――「理」と「知」の用法を中心にして――
〔一〕序
〔二〕先行文獻に見られる指摘
〔三〕問題の所在
〔四〕白居易詩における「理」
〔五〕白居易詩における「知」
〔六〕結 語
第九章 白居易の喫茶詩について――茶酒の詩境――
〔一〕序
〔二〕詩人と題材
〔三〕白居易喫茶詩の制作状況
〔四〕白居易喫茶詩の特色と傾向
〔五〕結 語
〔本論Ⅱ〕修辭の諸相
第十章 白居易「效陶潛體詩十六首」の修辭技法
〔一〕序
〔二〕先行文獻の指摘
〔三〕白居易が言及する陶淵明
〔四〕陶淵明を題材にする作品
〔五〕效陶潛體詩の修辭技法
〔六〕陶白詩を隔てるもの
〔七〕結 語
第十一章 白居易の數字表現について――修辭技法と心象構造――
〔一〕序
〔二〕詩と數における二つの前提
〔三」白居易散文と數字表現
〔四〕白居易韻文と數字表現
〔五〕結 語
第十二章 再び白居易の數字表現について――陶潛・李白・杜甫と比較して――
〔一〕序
〔二〕陶潛の數字表現
〔三〕李白の數字表現
〔四〕杜甫の數字表現
〔五〕白居易の數字表現
〔六〕結 語
第十三章 白居易詩における連鎖表現
〔一〕序
〔二〕散文の連鎖
〔三〕詩材の連鎖
〔四〕詩句の連鎖
〔五〕結 語
第十四章 白居易と韓愈の聯句詩について――聯句形成史におけるその意義――
〔一〕序
〔二〕先行文獻の指摘
〔三〕六朝の聯句詩
〔四〕唐代の聯句詩
〔五〕白居易の聯句詩
〔六〕結 語
第十五章 白居易における五絶と七律の對立性をめぐって
〔一〕序
〔二〕白居易近體詩の制作状況
〔三〕白居易の五絶と七律に對する評價
〔四〕詩型における節奏と心象
〔五〕詩人と詩型の適性
〔六〕結 語
第十六章 白居易の五言絶句について――詩人と詩型(上)――
〔一〕序
〔二〕先行文獻の指摘
〔三〕白居易の五絶作品
〔四〕結 語
第十七章 白居易七言律詩考――詩人と詩型(下)――
〔一〕序
〔二〕先行文獻の指摘
〔三〕白居易の七律作品
〔四〕結 語
第十八章 白居易「長恨歌」の修辭技法――對偶と連鎖の物語――
〔一〕序
〔二〕問題の所在
〔三〕對偶の技法
〔四〕連鎖の技法
〔五〕結 語
あとがき
論文初出一覽
『那波道圓本白氏文集』引用作品編目索引
内容説明
【本書より】(抜粋)
一九八二年一月に修士論文「白居易七言律詩考――詩型論的観点を中心にして」(主査は松浦友久教授)を提出してから三十七年が経過しているが、現在もこの詩人に対する興味は持続している。広大な『白氏文集』の世界に踏み入って以来、解決すべき課題は数多く、未だ不明と感じている部分も少なくない。
今回はこれまで発表してきた論文のなかから言語表現と修辞技法について考察したものを適宜抽出し、それぞれの論考を関連づけ整理しながら一冊の著書にまとめた。
最初の論文集である『白居易研究 閑適の詩想』(汲古書院、二〇〇六年十月)を刊行してから既に十三年を経ているが、本書の出版は自ら定めた白居易文学研究の続編となるものである。日本における白居易および『白氏文集』の研究史は大変長く、現在までに中国文学・日本文学・書誌学などを専門とする数多くの先人達によって、夥しい優れた研究成果が積み重ねられてきている。そのように広い裾野を持つ分野であるが、詩語と修辞を相互に連結させて白居易を論じた学術単著は、未だ一冊も上梓されていない。もとより文学の研究に完成はあり得ないが、自分なりの問題意識に拠って、従前とはまた異なる新たな詩人像を提示できたのではないかと考えている。