内容説明
【序文】より
延慶本平家物語のテクスト版『校訂延慶本平家物語』十二巻の刊行が終結した。
本テクスト版は、平家物語諸本の中(うち)の重要テクスト延慶本を大学の教場において、あるいは、一般市民の方々を対象とする講座において、あるいは、このテクストに関心を寄せる方々が容易に手にし、容易に読みうるテクストとして、各巻分冊のかたちをもって刊行された。
本別巻は、必ずしも読解容易ではない延慶本の世界へのささやかな案内として、簡略ながら延慶本全巻の梗概を用意し、加えて、今日の延慶本をめぐる研究状況の概要を五つの柱を立て、ご紹介することとした。各巻毎に、あるいは全巻のあらあらの概要を把握された後に、延慶本の深い豊かな世界に足を踏み入れることも、この世界への考察、探求の旅立ちの一つの入り方であろう。《研究史》の項―このテクストの研究状況の過去と現在を記述した諸論は、このテクストに孕まれている問題の所在の一端をお知らせするとともに、このテクストへの新たな問題意識の培養に資することを願いとしている。
【内容目次】
序 文(栃木孝惟)・凡 例
各巻の梗概 (はじめに :谷口耕一)
巻一~巻十二/延慶本平家物語所収文書一覧
研究史
総 説………………………………………………………… 清水由美子
成立論と古態論……………………………………………… 平藤 幸
平家物語諸本との関係……………………………………… 原田敦史
仏教と延慶本平家物語……………………………………… 牧野淳司
史料として見た延慶本平家物語…………………………… 松島周一
国語学から見た延慶本平家物語…………………………… 吉田永弘
テキスト一覧………………………………………………… 山本岳史
延慶本平家物語の異体字・当て字について(久保 勇)
延慶本平家物語 主要異体字等一覧
延慶本平家物語 主要当て字等一覧
延慶本平家物語 各巻年表
『校訂延慶本平家物語』正誤一覧
跋 文(松尾葦江)
執筆者紹介