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変法派の書簡と『燕山楚水紀遊』

変法派の書簡と『燕山楚水紀遊』

◎山本憲への梁啓超・康有為らの書簡から、清朝末期の日中民間交流の新たな姿を浮上させる

著者 山本憲関係資料研究会
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 総記・論集
東洋史(アジア) > 明清
日本史
出版年月日 2017/01/30
ISBN 9784762965890
判型・ページ数 A5・568ページ
定価 13,200円(本体12,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

口 絵
 
山本憲肖像写真
変法派人士の集合写真
康有儀書簡
『燕山楚水紀遊』表紙・扉

序 文 (吉尾  寛)

山本憲小伝 (公文  豪)


書 簡

康有儀書簡(解題・翻訳・翻刻 呂 順長・小野泰教)
(翻訳 古谷 創・高橋 俊)
梁啓超書簡(解題・翻訳・翻刻 周 雲喬)
汪康年書簡(解題・翻訳・翻刻 吉尾 寛・呂 順長)
康有為書簡(解題 小野泰教 翻訳・翻刻 呂 順長・小野泰教)
葉 澣書簡(解題・翻訳・翻刻 蔣 海波)
王 照書簡(解題・翻訳・翻刻 大坪慶之)
徐 勤書簡(解題・翻訳・翻刻 大坪慶之)
羅振玉書簡(解題・翻訳・翻刻 蔣 海波)
孫 淦書簡(解題・翻訳・翻刻 周 雲喬)
交流の裾野――著名な変法派人士以外の書簡――(解題・翻訳・翻刻 吉尾 寛)
日本人書簡〔古城貞吉、小倉 久、西山志澄〕(解題・翻訳・翻刻 公文 豪)
封書に入っていた重要書類(解題・翻訳・翻刻 吉尾 寛・公文 豪・大坪慶之)
「康有為来奔走時の書類」
「清国政変に関する意見」
「戊申政変に関する筆談書」
「日清協和会趣意書・規約」
「設立日華会館主旨及館則」


『燕山楚水紀遊』(解題・翻訳・翻刻 蔣 海波 / 監訳 狹間直樹)
索 引(人名、地名、事項)


後 記(吉尾 寛)
執筆者一覧

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内容説明

山本憲は、字永弼、号梅崖、高知県佐川町出身で、岡山県牛窓を終焉の地とした文人である(一八五二年~一九二八年)。二○○六年五月、ご遺族が高知市立自由民権記念館に六千点以上の遺品を寄託した。同館はその整理と史料的価値の解明を高知近代史研究会会長 公文豪氏に依頼。整理は『山本憲関係資料目録』(一一年)に結実した。

本書は、これに連動し、主に中国関係の資料を分析した科研費共同研究の報告書である。執筆者(含監訳者)十名、五七六頁。「山本憲関係資料」(以下〈資料〉)には、十九世紀末・清朝末期のいわゆる変法派等の知識人―「戊戌政変」には日本に亡命する梁啓超、康有為、王照から、彼らと山本の間に在って当時山本の漢学塾、梅清処塾に学んでいた康有儀等清国留学生らの肉筆の書簡、実物の封筒、写真等々が多数含まれている。当該書簡は二五○通を越え、従前の資料集では見られないものである。本書は、かかる貴重な書簡の原文の復元と現代日本語訳および解題・注を収めている。当事者の生々しいやりとりから、当時期の日中民間交流の動き(日・西文献の漢訳活動、儒学教育等)が新たに浮かび上がる。

山本憲は、一八九七(明治三十)年九月二十三日から同十二月一日にかけて、中国の北京城内及びその周辺地域と長江流域の幾つかの町を訪ねている。この時山本が面談した清人の多くが、前述の書簡の差出人となっていく。帰国後、その旅行日記は漢文体で上梓された。『燕山楚水紀遊』である。〈資料〉には明治三十一年刊「梅清処蔵版」があり、本書はこれを底本として、原文、現代日本語訳および解題・注を作り、かつ索引(人名、地名、事項)を立て、更には挿絵の全点を具体的に紹介した。読者は、山本憲の、儒学を踏まえた現実中国への眼差し、変法派人士との熱い議論を実感されよう。(吉尾 寛)

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