内容説明
新たな史料の発掘などにより、中国・台湾・日本ともに、一九八〇年代以降、宋―清代の法と社会に関する研究が活発になっている。本書は、そうした研究も踏まえて、学界で注目されている「健訟」という訴訟好きの社会風潮に着目しながら、宋―明代の江西における経済発展(開発)のあり方などについて分析を行い、近世日本の社会とも比較しつつ、伝統中国の社会秩序のメカニズムの解明を試みたものである。
【内容目次】
凡 例・序 言
第一章 「健訟」研究と問題の所在
一 宋元明代の江西における「健訟」
二 「健訟」研究の現状と課題
三 経済発展のあり方から分析する試みについて
四 秩序維持・利害調整のあり方をめぐって
五 本書における考察方法について
第二章 宋代信州の鉱山における紛争の構図
一 鉛山場の設置と発展
二 鉛山場における紛争と訴訟
三 鉱物輸送と紛争・訴訟
第三章 宋代江西・江東饒州における農業と訴訟
一 江西・江東饒州デルタ地帯における農業と訴訟
二 江西河谷平野地帯における農業と訴訟
第四章 宋代明州沿海部における紛争と秩序
一 海上交易の活発化
二 税場の設置と「砂主」勢力の出現
三 税場の廃止と訴訟
第五章 明代江西における開発と社会秩序
一 江西デルタ地帯における開発と社会秩序
二 江西河谷平野地帯における開発と社会秩序
三 江西山間地における開発と社会秩序
結 語
付 録 書評 柳田節子著『宋代庶民の女たち』
あとがき・中文摘要・索 引