内容説明
【主要目次】
はしがき 三国志の魅力
第一章 『演義』と『三国志』
〔二つの「三国志」・『演義』と『三国志』の違い・名士論の射程〕
第二章 成語から見る三国志
第三章 「三絶」曹操・関羽・諸葛亮
〔曹操の虚像と実像・関羽の義・諸葛亮の兵法〕
第四章 名士と軍師
〔君主と名士のせめぎあい・曹魏の諸軍師・呉・不遇の
三大軍師〕
第五章 三国時代の文化
〔三国時代の思想史的位置・鄭玄と王粛・三国時代の人生観〕
第六章 後漢末の荊州と諸葛亮・王粛
〔荊州学の特徴・諸葛亮と『春秋左氏伝』・王粛の「理」〕
第七章 近現代日本における「三国志」の伝承と受容
〔映画「レッドクリフ」と現代中国への関心・吉川英治の『三国
志』・湖南文山と久保天随〕
第八章 日本における「三国志」の受容と映画「レッドクリフ」
〔映画の宣伝と「三国志」の受容・九宮八卦の陣・借東風・三
国志と日中関係〕
第九章 さまざまな「三国志」を知る
〔書籍で知る三国志・映画で知る三国志・DVDで知る三国志〕
あとがき
【あとがき】より(抜粋)
本書は、「三国志」に関して、これまで書いてきた文章の中から、分かりやすいものを集めたものである。もちろん、本書に収録するにあたって、文章の訂補は行ったが、基本的な部分は改めていない。したがって、一つひとつが、完結した文章として書いたものであるため、重複する部分も多い。その代わり、どこからでも好きな文章だけを読んでいただくことができる。文末に()で出典を示したところまでが、ひとまとまりの文章となっている。ただし、第六章から第八章は、論文の形式で書かれているために、難しく分かりにくい。第六章は、二〇一三年八月、湖南大学岳麓書院で行われた「第五届中日学者中国古代史論壇」で報告した「東漢末年的荊州与諸葛亮、王粛」という報告の元原稿で、中国語訳は、『湖南大学学報』二〇一三―八に掲載されているが、日本語では未発表である。第七章は、二〇一〇年十一月、韓国学中央研究院の語文生活史研究所で行われた国際会議「三国志의전승과향유国際学術会議」で報告したもので、『三国志의전승과향유国際学術会議』(語文生活史研究所、二〇一〇年)という予稿集に収録されているが、日本でそれを見ることは不可能である。第八章は、レッドクリフのパンフレットを書いた経緯をまとめた論文である。第九章に収録した映画のパンフレットとともに、少し古い気もするが、テレビで再放送されたり、最近DVDで初めて見たとおっしゃる方も多かったりしたので、「鶏肋」という曹操の言葉に基づいて収録することにした。