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中国青瓷の研究

編年と流通

中国青瓷の研究

◎正倉院文書にも青子の文字を用いて記される「青瓷」、東アジアにおける青瓷の系譜を探る初の論考なる!

著者 森 達也
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 宋元
出版年月日 2015/02/27
ISBN 9784762965456
判型・ページ数 B5・284ページ
定価 11,000円(本体10,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

【主要目次】
はじめに
第1章 問題の所在
   中国陶瓷の考古・歴史・美術史資料としての特性/本論文の研究領域と研究方法
第2 章 越州窯青瓷の編年
   これまでの研究/編年研究の基準資料/編年
第3 章 五代・北宋耀州窯青瓷の編年
   唐代の耀州窯製品/五代とされる耀州窯青瓷の分類/紀年資料と一括資料から見た様相
第4 章 汝窯と南宋官窯―技術と器種の比較―
   汝窯の焼成技術と支焼方法/汝窯と南宋官窯の技術の比較/汝窯天青釉青瓷と南宋官窯青瓷の器種・器
形/汝窯の倣漢代礼器/青瓷による倣三代銅器
第5 章 南宋官窯(老虎洞窯)出土青瓷の編年
   遺物・遺構の状況/廃棄土坑出土遺物の概要/器種ごとの分類/編年
第6 章 宋・元代龍泉窯青瓷の編年
   遂寧出土遺物の概要と年代について/遂寧出土資料との類似資料/13世紀後半の様相/新安沖沈船資料
   の検討/新安沈船の次段階(元後期様式)/鎬蓮弁文碗についての検討
第7 章 中国陶瓷の輸出
  第1 節 宋元代輸出陶瓷の生産地と貿易港
第2 節 ペルシア湾発見の中国陶瓷
第3 節 日本出土の龍泉窯青瓷
第4 節 日本出土の南宋越州窯青瓷
第5 節 12 ~ 14 世紀東アジアの陶磁貿易ルート
第8 章 青瓷輸出の終焉―15 世紀後半から17 世紀の中国貿易陶瓷    結 語

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内容説明

【はじめに】より(抜粋)

中国では、遅くとも紀元前15 世紀頃までに灰釉の施された原始青瓷が誕生し、紀元前後頃には完成された青瓷が生み出された。これは、世界で最も古い高温焼成施釉陶瓷の系譜であり、今日世界中で生産されている「瓷器」すべての技術的ルーツといっても過言ではない。

  特に、8 世紀後半以降には、中国青瓷は盛んに海外に輸出されるようになり、世界各地の窯業に大きな影響を及ぼした。8 世紀から15 世紀頃までの、中国青瓷の出土や伝世は東アジアから西アジア・地中海東南部、アフリカ東岸にわたる広い地域で知られており、東西交流を裏付ける重要な資料として、また、各地の遺跡の年代決定材料として重要な意味をもっている。

  本書は、中国青瓷が最も盛んに輸出された8 世紀後半から14 世紀に焦点をあてて、該期の輸出青瓷の代表的な窯である江南の越州窯と龍泉窯青瓷の編年を構築し、世界各地で遺跡の年代決定の基準資料として用いられているこれらの中国青瓷の詳細な年代位置付を明らかにして、その研究に資することを第一の目的とする。また、越州窯および龍泉窯と密接な関係をもつ華北の耀州窯と汝窯、江南の南宋官窯青瓷を取り上げて、それらの影響関係と意匠・技術の変遷を明らかにし、越州窯青瓷から南宋龍泉窯青瓷に至る意匠・技術の系譜を明らかにすることをもう一つの目的とする。具体的には、唐代晩期から南宋初期(8 世紀から12 世紀)の越州窯青瓷、南宋後期から元代後期(13 世紀から14 世紀)の龍泉窯青瓷の詳細な編年を確立し、耀州窯、汝窯、南宋官窯青瓷などと比較しながら、その技術的・形態的変遷を明らかにするとともに、各窯間の影響関係を探る。さらに、8 世紀以降の中国陶瓷の輸出について青瓷を中心として考察を加え、特に日本への中国陶瓷の輸送ルートについて詳細な検討を行う。

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