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汲古選書70 中国の「近代」を問う

―歴史・記憶・アイデンティティ

汲古選書70 中国の「近代」を問う

◎「満漢」「東西」「日中」をキーワードに、独自の視点から中国の「近代」を問い直す

著者 孫 江
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 明清
東洋史(アジア) > 近現代
シリーズ 汲古選書
出版年月日 2014/06/30
ISBN 9784762950704
判型・ページ数 4-6・296ページ
定価 4,950円(本体4,500円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに
第一章 太陽の記憶―――太陽三月一九日生誕説に関する知の考古学
   甲申三月一九日/太陽生誕日をめぐる記憶の創出/太陽生誕説のテクスト化/記憶・忘却の再生産
第二章 連続と断絶―――二〇世紀初期中国の歴史教科書における黄帝叙述
   問題の所在/歴史教科書における黄帝叙述/歴史教科書の中の黄帝の図像
第三章 肌色の差異化――ブルメンバッハの「五人種説」とその東アジアへの伝播
問題の所在/ブルメンバッハの「五人種説」と来華宣教師/明治日本における「五人種説」の伝播/
   清末民国初期における「五人種説」の伝播
第四章 黄帝はバビロンより来たり――ラクーペリ「中国文明西来説」および東アジアへの伝播
   「言語科学」から「歴史科学」へ――「中国文明西来説」について
   オリエンタリズムと東洋学の間――明治日本における「西来説」の受容
   アイデンティティと外来性の齟齬――清末中国における「西来説」の受容
第五章 中国という尺度――橘樸と魯迅の対話をめぐって
   あの人は誰か/魯迅曰く/新思想と旧思想/橘樸の沈黙/その後
第六章 記憶の耐えられない重さ――陶保晋と彼の子孫にとっての南京
   想起の空間/罪と罰/名と節/善と悪
あとがき/索引(人名・書名)

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内容説明

【「はじめに」より】(抜粋)

本書は六つの章から構成される。各論文は、歴史・記憶・アイデンティティの三つの角度から中国の「近代」を問い直すオリジナルな研究である。

  本来、中国語の「民族」が意味するnationという語の語源は「出生」「産地」「部族」などを意味するラテン語のnatioである。一八世紀後半、西ヨーロッパや北アメリカで近代共和制や市民意識が芽生えるにつれ、nationは市民の「国家」や「共和国」に対するアイデンティティという意味を賦与された。この概念が中国に伝わる際に、中華世界に自生した「天下」「華夷」などの文化に基づいた観念に遭遇し、さまざまな齟齬が生ずる。ゆえに、中国の「近代」を論じる際には、ヨーロッパに由来した概念や言説を中国の社会的・文化的コンテクストのなかで具体的に検討する必要がある。これは中国の「近代」を別冊に入れることを意味せず、グローバル・ヒストリーのなかで中国の「近代」を考える際に必要不可欠であろう。本書はこうした考え方に基づいた私なりの試みである。 

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