目次
序章 第一次世界大戦期の中国民族運動の主体形成と日本・アメリカ
第1章 二十一ヵ条反対運動 1914年-1916年
第1節 日本の第一次世界大戦参戦と二十一ヵ条要求 第2節 二十一ヵ条反対運動の開始
第3節 二十一ヵ条反対運動の拡大 第4節 二十一ヵ条反対運動の激化
第2章 日中軍事協定反対運動 1917年-1918年
第1節 ロシア革命と北京政府 第2節 シベリア革命干渉と日中軍事協定の締結
第3節 日中軍事協定反対運動の展開 第4節 シベリア出兵への北京政府の対応
第5節 段祺瑞の武力統一政策の挫折 第6節 日中軍事協定に対する英米政府の態度
第3章 山東主権回収運動―五・四運動前史 1918年10月-1919年4月
第1節 大戦終結と山東主権回収運動の開始 第2節 パリ講和会議の開幕と小幡事件
第3節 山東省官民による先駆的運動
第4章 北京の五・四運動 1919年5月-6月
第1節 五・四事件の発動者 第2節 五・四運動の始まり
第3節 五・四運動の激化と拡大 第4節 五・四運動の終息
第5章 上海の五・四運動 1919年5月-7月
第1節 上海都市社会の特質 第2節 上海五・四運動の展開
第3節 上海五・四運動の高潮 第4節 国貨提唱運動の継続と拡大
第5節 上海の日本人社会と五・四運動 第6節 五・四運動に対する米英政府の対応
第6章 第一次世界大戦終結後の東アジアの民族運動と北京政府 1919年-1921年
第1節 五・四運動と三・一独立運動 第2節 北京政府の「外蒙自治取消」
第3節 シベリア連合干渉の終結と「軍事関係」の消滅
第4節 安直戦争と日本の援段政策の挫折
終章 第一次世界大戦期の中国民族運動と日本・アメリカ
補論1 日本の友人への手紙 補論2 研究視点と研究史における位置づけ
あとがき/索引(人名・事項)
内容説明
本書は21世紀に入った現在の研究状況と筆者の問題意識と課題意識に基づいて、歴史用語、概念規定も 含めて叙述修正したものであり、現在の研究課題に沿って、今日の中国近現代史、日中関係史、東アジア国際関係史などの研究に、筆者なりの問題提起をするべく、新たに書き直した第一次世界大戦期の中国民族運動についての通史スタイルの論文集である。
【序章】より(抜粋)
本書では、第一次世界大戦期の東アジア国際関係に規定されながら展開した中国民族運動について、主体としての中華民国の国家と政府と国民の動態と運動、その中国民族運動を誘発・激化させた客体として日本政府の中国侵略政策とそれを推進した中国現地の外交官・武官ならびにそれに加担した日本人商工業者の動向、さらに媒体として大きな影響力をもって中国民族運動に関わったアメリカの対中・対日外交、ならびにイギリスの対中・対日外交政策の展開、とりわけ日米対立を顕在化させたアメリカの外交政策ならびに中国現地のアメリカ人外交官、ジャーナリスト、宣教師などの動向という三つの歴史的要素を中心に分析する。そして、それらの民族運動の主体、客体、媒体の対立・抗争さらには競合関係の複合的な展開過程の解明を試みる。