内容説明
【前言より】(抜粋)
本書は中国北朝・隋代の墓誌の出土場所と所蔵場所、および著録状況をまとめた目録である。北朝隋代の墓誌は、史料が必ずしも豊富とはいえない当該時代の歴史研究において、正史をはじめとする編纂史料の欠を補い、また編纂史料に描かれた歴史の再検討を可能にする出土史料として注目されてきた。しかし、日々新史料が出現する一方で、北朝隋代墓誌の全容は増々把握しにくくなっている。こうした状況を受けて、筆者はこれまで北朝隋代墓誌史料群の全容の把握に努め、先に「北朝墓誌所在総合目録」および「隋代墓誌所在総合目録」を発表した。そこでは2005年末までの時点で確認できた北朝墓誌779点、隋代墓誌483点、合計1262点の墓誌の所在・著録状況を明らかにした。またその後に発表した「新出北朝隋代墓誌所在総合目録(2006-2010年)」では、2006年から2010年の間に新たに発見・公開された北朝墓誌235点、隋代墓誌121点、合計356点の墓誌の所在・著録状況を明らかにした。以上の目録で把握できた当該時代の墓誌は合計1618点(北朝1014点、隋代604点)であった。
本書はこれらの目録で蓄積した情報を基にし、さらにその後2011年から2013年5月までに新たに知り得た情報も加えて一書としたものである。本書に収録した墓誌の数は、北朝が1211点、隋代が716点、合計すると1927点にのぼる。この2年半だけで、新しい北朝隋代墓誌が300点以上も追加されたことになる。
中国では現在も新たな墓誌が続々と公開されており、その状況はしばらく続くであろう。とはいえ、本書によってひとまず現時点における北朝隋代の墓誌史料の全体状況をほぼ示すことができたのではないかと思われる。……
【本書の特色】
◎本目録は、北魏(386-534)、東魏(534-550)、北斉(550-577)、西魏(535-556)、北周(577-581)、 隋(581-618)の各時代の墓誌を年代順に配列し、その所在・著録状況を明らかにしたものである。北魏分裂以降の時代については、東魏・北斉と西魏・北周に分けて配列する。
◎本目録は、2頁見開きで使用する形式をとる。各墓誌には番号をふり、墓誌名、紀年、出土場所、所蔵場所、著録を記す。なお、紀年については、年の後に括弧をして西暦を表記する。
◎北朝隋代墓誌をみる際に特に重要な以下の石刻関係書籍は、それぞれ項目を立てて掲載場所を記す。
趙万里著『漢魏南北朝墓誌集釈』/楊殿珣編『石刻題跋索引(増訂本)』/王壮弘・馬成名編『六朝墓誌検要』/北京図書館金石組編『北京図書館蔵中国歴代石刻拓本彙編』/『隋唐五代墓誌彙編』総編輯委員会編『隋唐五代墓誌彙編』/趙超著『漢魏南北朝墓誌彙編』/高峡主編『西安碑林全集』/朱亮主編『洛陽出土北魏墓誌選編』/郭玉堂原著、氣賀澤保規編著『復刻洛陽出土石刻時地記―附 解説・所載墓誌碑刻目録』/韓理洲編『全隋文補遺』、韓理洲等輯校編年『全北斉文北周文補遺』、同『全北魏東魏西魏文補遺』/羅新・葉煒著『新出魏晋南北朝墓誌疏証』/王其禕・周暁薇編著『隋代墓誌銘彙考』/毛遠明編著『漢魏六朝碑刻校注』
◎上記以外の石刻関係資料集や発掘報告類、考古関係雑誌・新聞に掲載された発掘報告、個別の墓誌に関す る研究著作は、「その他の著録」の項目に一括して記す。
◎本目録の末尾には、墓誌名を画数順に並べた「墓誌名索引」を付す。