ホーム > 汲古叢書112 「満洲国」博物館事業の研究

汲古叢書112 「満洲国」博物館事業の研究

汲古叢書112 「満洲国」博物館事業の研究

◎博物館の成立過程・展示活動の実態から,「満洲国」の内実を明らかにする!

著者 大出 尚子
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 近現代
日本史
日本史 > 近現代
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2014/01/17
ISBN 9784762960116
判型・ページ数 A5・288ページ
定価 8,800円(本体8,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章   第1節 問題の所在    第2節 本書の構成
第1章 「満洲国」の博物館建設―国立博物館の成立過程を中心に―
  第1節 「満洲国」初期の博物館設置構想  第2節 「日満(満日)文化協会」と国立博物館の関係
  第3節 国立博物館の開館と当初の展示活動
第2章 清室財産と博物館―東三省博物館の設立,奉天故宮博物館への改称と閉鎖―
 第1節 東三省博物館の設立        第2節 金梁の「皇室博覧館」建議
  第3節 奉天故宮博物館の成立       第4節 奉天故宮博物館閉鎖後の瀋陽故宮
第3章 「満洲国」の博物館事業と清朝の遺臣,および日本の考古学者・東洋史学者
  第1節 清朝の遺臣・羅振玉と国立博物館  第2節 熱河宝物館の設立と古蹟調査・保存事業
  第3節 古蹟調査と国立博物館~国立中央博物館奉天分館
  第4節 国立博物館~国立中央博物館奉天分館の特別展
  第5節 「満州国」の国境問題と国立博物館~国立中央博物館奉天分館
第4章 国立中央博物館と副館長藤山一雄の博物館運営構想
  第1節 国立博物館から国立中央博物館への改組
  第2節 副館長・藤山一雄         第3節 「満州国」と「民族協和」
  第4節 国立中央博物館の諸活動      第5節 藤山一雄の国立中央博物館運営構想
第5章 藤山一雄の民俗展示場構想と満洲開拓政策
  第1節 国立中央博物館民俗展示場について 第2節 民俗展示場第1号館「北満の農家」
  第3節 初期満洲移民政策の実態と日本人移民の住居建築の問題―民俗展示場構想への間接的影響―
  第4節 満鉄開拓科学研究所の活動―民俗展示場構想への直接的影響―
  第5節 藤山一雄と満鉄開拓科学研究所所員によるロマノフカ村調査
  第6節 国立中央博物館の終焉
結 章/史料・参考文献一覧/あとがき/索引

このページのトップへ

内容説明

序章より】(抜粋)

本書は,「満洲国」国立博物館(1935-1939年)~国立中央博物館(1939-1945年)と東三省博物館(1926-1932年)~奉天故宮博物館(1932-1936年)を研究対象とし,清末から「満洲国」期の博物館事業の展開と中国東北の政治史との関係を分析することによって,「満洲国」の実相を解明しようとするものである。

  博物館の機能は,植民地統治と深い関係を有する。台湾・朝鮮・樺太,関東州や「満洲国」では,日本人 の主導によって博物館が設置された。日本の旧植民地における博物館政策に関しては,博物館を設置した国 家および植民地統治機関の政治的意図が問われている。

  本書では,「満洲国」の博物館のコレクションと展示が,「満洲国」の政府機関の意図とは別に,博物館運営者・展示企画者の構想を多分に反映したものであったことを重視する。議論を進めるにあたっては,博物館運営者・展示企画者の出自や経歴,思想(中国東北の歴史的・地理的特徴をどう捉えていたか,博物館にどのような機能を持たせようとしたのか)にまで踏み込んだ分析を行い,彼らの方針・構想が反映された博物館のコレクションおよび展示の特徴を捉える。加えて,清末から「満洲国」期における中国東北の政治史との関連を追究し,博物館事業の特徴からその政治性を明らかにした上で,「満洲国」の実相に迫る。

このページのトップへ