ホーム > 太公家教注解

太公家教注解

太公家教注解

厳密な本文再建により、幻の幼学書『太公家教』の全容が現在に甦る

著者 幼学の会
ジャンル 日本古典(文学) > 中古文学 > 日記説話
出版年月日 2009/03/31
ISBN 9784762935701
判型・ページ数 A5・552ページ
定価 16,500円(本体15,000円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

太公家教は古代中国で作られた、人生の様々な局面における処世訓を暗誦用に仕立てた幼学書である。日本にも早く伝来していたことは、藤原頼長の日記、台記康治二年(一一四三)の記事に見えることから確実だか、実用を旨とする幼学書であったため、その後、日中双方において姿を消してしまい、再び世に現れたのは、二十世紀初頭に発見された敦煌文書の中からであった。

 敦煌本太公家教は、諸本の多さでは文書中随一とされ、太公家教が当時の人々にいかに深く愛用されていたかを物語る。その総数は42本を数え、さらにトルファン本6本を加えれば、計48本にもなる。本書では初めて、これら全ての諸本を校合、厳密な校訂作業を経て、唐代のその全容を現在に甦らせることに成功した。

 本注解の特徴は、50本近い異本に対し、日本文学研究法の精髄とも言える文献学的方法を適用、諸本群を七系統十類に分類し体系化した上で、精緻な校勘を施し、注解本文を立てたことにある。本文には書き下し、通釈を加え、注釈では、単なる語義や典拠の指摘にとどまらず、従来の解説を超えて、中国・朝鮮・日本などアジア全体における享受や、当時の社会・家族状況の中で、その章句の教訓内容にどのような意味があるのかまで考察した。併せて、全諸本の異同を示した校異表、影印篇を収録する。

 太公家教は分かり易い内容が当時の大衆に支持され、中国全土に広汎に流布し、その影響は遠く中国語域外にまで及んだ。本書は、古代幼学の太公家教を日本で初めて本格的な研究対象とし、東アジア漢字文化圏において、それがどのようなテキストであったかを位置づけようとした学際的意欲作であると共に、太公家教の鮮明な全テキストを全世界に公開し、ひとり文学のみならず文化史・教育史等の研究分野にも第一級の資料を提供しようとするものである。

◇幼学の会メンバー

 黒田 彰 (佛教大学教授) 三木雅博 (梅花女子大学教授)

 後藤昭雄 (成城大学教授) 山崎 誠 (国文学研究資料館教授)

◇本書の特色

本文注解篇 底本には比較的首尾が完具し古形を留めるP三七六四(諸本番号33)を用い、他の諸本により本文を校訂した。全文を序・跋および23の章段(全613句)に分け、各章段毎に上段に校訂本文、下段にその書き下し文を配し、校勘・押韻・通釈・注を施した。

校 異 表  33本(P三七六四)を底本とし、現存諸本48本全ての本文の様態・異同を把握出来るように、章段毎に作成した。

影 印 篇  敦煌文書(スタイン文書、ペリオ文書など)、トルファン文書における、現存全諸本の太公家教の写真を収めた。

解 題   略解題では、太公家教の概略や研究史、諸本の残存状況や系統について解説し、解題では、享受史に見られる問題点などを中心に論じて今後の課題にまで踏み込んだ。

【内容目次】

口絵(カラー)・凡例・略解題(黒田 彰)/本文注解篇・校異表・影印篇・解題(山崎 誠)

あとがき/索引(太公家教語句索引・太公家教成句索引)     〔佛教大学平成20年度出版助成図書〕

このページのトップへ