(82)~(84)四十五冊。 2680枚。 江戸幕府が公武諸家や寺社に所領をあてがうとき、 又は将軍の代替わりに際し 「継目安堵」 のために発給した、 領有権確認の証書。 そのうち朱肉を用いて将軍名の捺印を加えたものに御朱印又は御朱印状といい、 黒色を以って捺印したものを御黒印状、花押(書き判) を据えたものを御判物と呼んでいる。 御朱印類は将軍名を持って発給されるから、 代替わりに際しては、 前将軍の御朱印類を提出し、 引替えに新将軍の御朱印の交付を受けた。 この手続きを「御朱印改め」 と称し、 歴代将軍は宣下の時点から早くて約一年半、 おそいのは十余年を経て新しい朱印状を発給している。 これらの御朱印類を発給した年代は慶長7年から万延元年にわたり、 この間の花押、 捺印に見える将軍名は家康・秀忠・家光・家綱・綱吉・吉宗・家重・家治・家斉・家慶・家定・家茂の十二代である。 家宣・家継・慶喜の三代は一通も含まれていない。 この三代はいずれも在任期間が短く新たに発給する時間的余裕もなかったと思われる。内閣文庫の所蔵するこれらの御朱印類は、 明治政府が朱印地等の引き上げに伴う措置として回収したものの一部であり、 武家に対するものは含まれていない。 現存するもののうちで最も数量が大きく、 また完全に良好な状態で保存されている点で他に比類がない。 領知関係を示す根本史料として、 法制史・経済史・地方史・家伝の研究に貴重であるばかりでなく、 同一様式の文書を比較検討できる点で古文書学研究の好資料である。