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後漢書劉昭注李賢注の研究

後漢書劉昭注李賢注の研究

◎劉昭・李賢二人の注釋書および人物像に迫る初の総合研究なる

著者 小林 岳
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
東洋史(アジア) > 魏晋隋唐
出版年月日 2013/02/23
ISBN 9784762929939
判型・ページ数 A5・512ページ
定価 13,200円(本体12,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 言
第一部 劉昭と『集注後漢』
第一章 平原高唐の劉氏と劉昭
第一節 平原高唐の劉氏について 第二節 劉昭とその二子・二孫
第二章 劉昭の『集注後漢』撰述と奉呈について
第一節 『集注後漢』について     第二節 『集注後漢』の撰述と奉呈
第三節 避諱字から見た武帝への奉呈
第三章 劉昭の『後漢書』補志について――『後漢書』補成考――
第一節 八志の選定過程            第二節 劉昭の范曄および『後漢書』觀
第三節 補志の目的と方法           第四節 劉昭の歴史書觀
第四章 劉昭の『後漢書』注について――『集注後漢』の内容をめぐって――
第一節 『集注後漢』における紀傳部と八志   第二節 『集注後漢』の巻數
第三節 劉昭注の内容
(ⅰ)劉昭注の概要と形態         (ⅱ)紀傳注と八志注の關係
(ⅲ)注釋に込めた劉昭の意圖       (ⅳ)『續漢書』劉昭注の存在
第五章 劉昭「後漢書注補志序」の譯注および解説
《原文》《訓讀》《語釋》《通釋》《解説》

第二部 章懷太子李賢と『後漢書注』
第六章 唐高宗の八子三女と章懷太子李賢
第一節 高宗の八子三女と李賢
第二節 李忠と李弘の皇太子册立と廢位
(ⅰ)李忠の皇太子册立と廢位       (ⅱ)李弘の皇太子册立と廢位
第三節 李賢の皇太子册立と廢位
(ⅰ)李賢の履歴と二つの納妃       (ⅱ)李賢の皇太子册立と『後漢書注』の奉呈
(ⅲ)『後漢書注』の外戚批判と李賢の廢位  (ⅳ)李賢の巴州謫徒と李敬業の亂
第四節 李孝・李上金・李素節と義陽・宣城・太平三公主
第七章 李賢の妃嬪・三子と章懷太子追謚について
――主として「張氏神道碑」と「雍王」・「章懷」二墓誌による――
第一節 李賢の妃嬪と三子
(ⅰ)南陽張氏について          (ⅱ)淸河房氏について
(ⅲ)李賢墓壁畫に見える房氏と張氏    (ⅳ)李賢の三子について
第二節 李賢の復權と中宗朝および睿宗朝の政變
(ⅰ)中宗の重祚と李賢の乾陵陪葬     (ⅱ)「雍王墓誌」の改刻と韋后・武三思
(ⅲ)睿宗の重祚と章懷太子追謚      (ⅳ)「章懷墓誌」の改刻と太平公主
第八章 章懷太子李賢の『後漢書注』について
第一節 『後漢書注』の基礎的検討
(ⅰ)『後漢書注』の奉呈          (ⅱ)唐初における諸皇子の書籍編纂
(ⅲ)『後漢書注』の編纂グループ      (ⅳ)テキストの確定作業
(ⅴ)志部の缺落に關する考察 (ⅵ)李賢注紀傳部と劉昭注八志部の合綴
第二節 『後漢書注』の基本的構造と注釋内容
(ⅰ)注釋指數と避諱字の確認       (ⅱ)別記参照の指示
(ⅲ)「不同」・「與此不同」とする注記    (ⅳ)「未知」・「不詳」とする注記
(ⅴ)本文誤謬の指摘 (ⅵ)「石鼓銘」の引用
(ⅶ)『後漢書注』に見える「今」
第三節 『後漢書注』に見える武后と外戚批判
(ⅰ)李賢の武后外戚批判         (ⅱ)顔師古の皇后外戚に關する注記
第四節 『後漢書注』の權威確立と『集注後漢』の佚亡
(ⅰ)『後漢書注』に先行する諸注釋     (ⅱ)『後漢書注』に再公認
(ⅲ)『後漢書注』の三史昇格と『集注後漢』の佚亡
第九章 李賢注と劉昭・顔師古・李善の三注――李賢注に見える先行注釋書の影響――
第一節 李賢注と劉昭注   第二節 李賢注と顔師古注   第三節 李賢注と李善注    
第十章 章懷太子李賢の二墓誌について
第一節 李賢と房氏の合葬と章懷太子墓
第二節 二墓誌の解題 Ⅰ「大唐故雍王墓誌」 Ⅱ「大唐故章懷太子并妃淸河房氏墓誌」
第三節 二墓誌の内容に關する考察
補篇一 「大唐故雍王墓誌」譯注  《釋文》《訓讀》《語釋》《通釋》
補篇二 「大唐故章懷太子并妃淸河房氏墓誌」譯注  《釋文》《訓讀》《語釋》《通釋》
参考文献・あとがき・英文概要・中文概要・索引

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内容説明

【序 言】より

『史記』・『漢書』・『三國志』の注釋については現今までにさまざまな考察がなされているが、『後漢書』の注釋にかぎると、劉昭と李賢という二人の代表的な注釋者とその注釋書について部分的、副次的に言及した考察を確認するのみで、その人物像や注釋の内容を眞正面から研究對象に据えて、その包括的な究明を試みた著作については日本はもとより中國においても一篇も存在しないといっても過言ではないのである。

これまでに私は、梁の劉昭が選述した范曄『後漢書』の注釋書である『集注後漢』と唐の李賢による同書の注釋書である『後漢書注』を研究對象として拙い試論を重ねてきたが、今回それらを整理改稿して、この二人の人物像と注釋書について再檢討を加えるとともに、李賢注に見える劉昭注など先行注釋書の影響について新たな論證を試みた。それは後漢王朝とその前後の時代を考究する上で不可缺の指針であると廣く認められながら、その撰著者と注釋内容の全體像について考察されてこなかった劉昭と李賢およびその注釋書について、なかんづくこの二書間に見られる注釋觀の繼承などの問題について明らかにして中國史學史研究における空隙を埋めようと考えたからにほかならない。

本書は、序言に加えて第一部全五章、第二部全五章および二つの補篇によって構成される。第一部は劉昭と『集注後漢』について論ずるもので、撰著者范曄の刑死によって未完におわった十志が完全に失われ、本紀と列傳のみが傳來していた『後漢書』に對して、梁の劉昭が司馬彪『續漢書』の八志を斷裁して補綴し、その補成『後漢書』の紀傳と八志の全篇にわたってみずからの注釋を挾入して完成させた『集注後漢』について、撰著者劉昭の人物像とその書の全容を明らかにしようとするものである。第二部は唐の章懷太子李賢と『後漢書注』について論ずるもので、李賢の人物像とその『後漢書注』の全容を把握するとともに李賢注に見える劉昭『集注後漢』など先行注釋の影響を明らかにすることを目的とするものである。

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