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汲古選書59 荘綽『鶏肋編』漫談

汲古選書59 荘綽『鶏肋編』漫談

森羅万象・人事百般、宋代社会を荘綽『鶏肋編』が解き明かす―宋代史研究の貴重資料

著者 安野 省三
ジャンル 中国古典(文学)
中国古典(文学) > 唐宋元
シリーズ 汲古選書
出版年月日 2012/07/24
ISBN 9784762950599
判型・ページ数 4-6・294ページ
定価 3,850円(本体3,500円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章 作者の横顔/作品の概要/先行研究
第一章 同時代の人物評 好評の部/悪評の部/中間の部  
第二章 杜甫・蘇軾への崇敬と思慕
第三章 任地・本貫・行跡にまつわる話題         
第四章 両宋間の政官財
第五章 社会経済の珍貴資料              
第六章 諺語・諱忌語・俗言
第七章 奇習異俗と年中行事               
第八章 コトバ遊び
第九章 風土・気象・産物・食習慣            
第十章 本草点描
第十一章 姓名・地名奇談                
第十二章 仏教の諸相
第十三章 無 題                    
終 章

附 録
(一)余嘉錫『四庫提要辨証』巻一八 子部九 鶏肋編三巻 
(二)蕭魯陽 荘綽生平資料考辨

索 引(人名・語彙)

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内容説明

『雞肋編』は、両宋間の人、荘綽が雑事記聞を集めた小説筆記の類で約三百の話題よりなる。宋代の社会経済・文化風俗を考察する上で貴重な資料である。本書は、各話に仮題を付けた中華書局の唐宋史料筆記叢刊『雞肋編』を用い、全十三章と附録(一)・(二)及び索引を附した。本書には、主要171話を収録。

 

【序章】より(抜粋)

荘綽、字は季裕。ふつう字で呼ばれることが多い。正確な生卒年は詳らかではないが、神宗元豊元年(一〇七八)から高宗紹興十六年(一一四六)頃までの人と推定され、七十歳には僅かに手が届かなかった。つまり両宋間という激動期を生きたことになる。本貫は本書の序文で清源(現在の福建省恵安県)と自署している。祖籍が清源であることは間違いないが、彼自身は若いころ潁川(現在の河南省許昌市)で過した期間が長かったと思われ、確証には缺けるが、あるいは生誕の地も潁川であった可能性が高い。荘綽と科挙との関係は判らない。士子であれば応挙したはずであるが、登第の形跡はない。初任が摂襄陽尉であり、父の恩蔭による任官の可能性が大である。歴官の詳細は附録(二)を参照されたい。ただ、京師の職務についたことはなく、地方官で終始した。

本書は魅惑的な随筆である。同時に不可思議な作品であり、難読の書でもある。手近な版本として、中華書局の唐宋史料筆記叢刊に収められたものがあり、一三二頁の小冊子、内容は序と上中下三巻三百項目から成る(拙稿はこれを使用)。一九八三年に上梓され、蕭魯陽が冒頭に「校点説明」を記したうえで点校を施し、三百項目に仮題(拙稿はこれを借用)を付した。もともと各項目は無題であり、この仮題は簡にして要、便宜この上ない。また巻末には附録一(歴代版本と序跋)、二(蕭魯陽「荘綽生平資料考辨」)の両種を加え、とりわけ後者の「考辨」は荘綽の経歴・著述・学風等を精細に検証した秀作である。人事百般・森羅万象、荘綽の興味は滾々と涌き出る泉水のごとく尽きる所を知らない。博覧強記も彼のために用意された語彙といっても過言ではない。ただ、古今はともかく、東西はどうかというと、四夷にはそれほど関心を示さなかったようである。当代の侵略者である契丹族遼と女真族金を除いては。

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